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SA-CCR

2016年07月

SA-CCRとは、2017年1月に施行が予定されているバーゼル規制の1つで「Standardized approach for counterparty credit riskの略です。日本語では「カウンターパーティー信用リスクエクスポージャーの計測に係る標準的手法」と訳されます。金融機関がデリバティブ取引等を行う際に、取引先(カウンターパーティー)の与信相当額を算出するための手法です。今回は、SA-CCR導入における金融機関への影響について考察します。

バーゼル規制におけるSA-CCRの位置づけ

はじめにバーゼル規制について整理します。金融機関、とくにグローバルに活動する大手の金融機関が破たんすると、世界的に金融システムの安定性が損なわれることから、世界共通の規制を各国で適用する必要性があると考えられます。金融機関の保有するリスクアセットに対し自己資本を十分な水準に維持することを求めるのがバーゼル規制(※1)の基本的な考え方です。
(自己資本比率=自己資本/リスクアセット)

1988年にバーゼル合意が成立し、1992年から適用されることになりました(バーゼルI)。2004年には合意の見直しが行われ(バーゼルⅡ)、銀行が抱えるリスクについて計測の精緻化が行われました(2006年に適用開始)。しかしながら、バーゼルIIは、リーマンショックによる金融危機を防ぐことができませんでした。その反省から更なるルール変更が検討され、2010年にバーゼル合意が再改定(バーゼルIII)されました(2013年から段階的に適用)。バーゼルIIIでは、自己資本比率規制の厳格化のほか、流動性規制やレバレッジ比率規制が新たに導入されています。

このバーゼルIII の1つがSA-CCRです。デリバティブ取引等を行う際の取引先(カウンターパーティー)与信相当額(EAD:Exposure At Default)を、取引先がデフォルトした場合の再構築コスト(※2)とポテンシャル・エクスポージャー(※3)にもとづいて算出します。現行のカレントエクスポージャー方式と標準方式を代替するもので、2014 年3 月31 日に最終文書が提示され、2017年1月から適用が開始される予定です。

※1 バーゼル規制:別名BIS規制という。BISとは国際決済銀行(Bank for International Settlements)のことで、BISが事務局となってバーゼル銀行監督委員会が組織されている。同委員会でバーゼル規制が作成されている。
※2 再構築コスト:デリバティブ取引で、時価評価した場合の価値(金額)と同等の取引をもう一度構築する時に必要なコスト
※3 ポテンシャル・エクスポージャー:将来のエクスポージャーの変動相当額

SA-CCR導入による金融機関へ影響

SA-CCRによる与信相当額は、マージンアグリーメント(※1)の有無によって、その計算方法が異なります。また、資産クラス(金利、為替、クレジット、株式、コモディティ)ごとにポテンシャル・エクスポージャーを算出して集計する必要があります。売買のポジションをネッティングすることによるリスク削減効果を現行方式より精緻に反映できますが、計算方法は現行の方式に比べて複雑です。
このためSA-CCR導入に際し、金融機関では、以下のような業務要件・システム面での対応が必要となると考えられます。

主な業務要件

  • SA-CCR計算対象商品:OTCデリバティブ、上場デリバティブ、長期決済取引
  • 与信相当額(EAD:Exposure At Default)計算:バーゼルの規制要件に従い、取引毎にリスクを計算して、各カウンターパーティー与信相当額を算出
  • 報告頻度:当局報告は四半期に一度、決算月(3、6、9、12)の翌月初め。初回報告は2017年3月末基準予定

システム面

  1. SA-CCRに必要な取引データや商品の属性データを、フロントシステムや外部ベンダー等から取得。バケッティング(※2)、ネッティングの実施。
  2. 取引データと担保データから、再構築コストとポテンシャル・エクスポージャーを計算。
  3. 取引先毎の与信相当額を計算し、レポートを出力。

SA-CCR導入を契機として、金融機関では、デリバティブに関わるリスク管理の高度化が求められます。信用リスク分野においては、今後も規制の見直しが予定されており、金融機関経営の健全化にむけて規制強化が継続される見通しです。

※1 マージン・アグリーメント契約とは、一方の取引先に対する他方の取引先の「市場の価格変動リスクにさらされている資産の割合(=エクスポージャー)」が指定された水準を超えた場合、前者が後者に担保を提供しなければならないという契約上の合意あるいは規定。
※2 バケッティング:キャッシュフローの割り振り

NRIの取り組み

NRIでは、グローバル金融規制に関連して、規制動向調査を継続的に実施すると共に、コンサルティングおよびソリューションを提供しています。詳細は営業担当にご連絡ください。

最近のトピックス

・2016年7月13日プレスリリース:
2017年1月のバーゼル規制変更(SA-CCR等)に対応し、「T-STAR/GX」に信用リスクアセット計算機能等を追加

・2015年10月20日プレスリリース:
ファンドのバーゼルⅢ対応を支援する資産運用会社向け「IDS-BISサービス」を提供開始

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