1. HOME
  2. ソリューション&サービス
  3. 今月のキーワード
  4. 2015年
  5. 金融持ち株会社規制の見直し

金融持ち株会社規制の見直し

2015年04月

日本版金融ビッグバンを契機として、1997年、独占禁止法の改正により持ち株会社が解禁され、翌98年には金融持ち株会社の設立が可能になりました。それから17年を経て、金融持ち株会社の規制の見直しが検討されています。

金融持ち株会社規制の見直しの背景

今回の規制の見直しの主な目的は、金融とITの融合を通じた金融サービスの向上です。

現行の規制では、金融持ち株会社の傘下の子会社は、限定列挙された銀行や証券などいわゆる金融の本業しか認められていませんでした。また銀行による事業会社株式の保有は原則として5%までに制限されていました。今回の見直しでは、子会社の業務範囲を拡大し銀行業に関連したIT企業やベンチャー企業への出資などを可能にするという案が含まれています。

欧米では、Fintech※と呼ばれる、金融関連のITベンチャー企業への金融機関による出資・買収が活発化しています。その背景として、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が「我々はグーグルやフェイスブックと競合することになるだろう」と発言しているように、新たなITイノベーションによって既存の金融ビジネスが大きく変化し、自らの収益基盤が脅かされるのではないかとの危機感があります。

規制見直しにより可能になると考えられるビジネスとしては以下の2つが挙げられます。

  1. 金融関連ITベンチャー企業・電子商取引ビジネスなどへの出資や子会社の設立
    日本の金融グループにおいても、ネット決済や電子マネー等の成長分野において戦略的なIT投資の実現によるサービスの拡大が見込まれます。
  2. 金融グループ経営の効率化に向けた、グループ内の決済関連事務の容易化や資産運用など重複業務の統合を目的とする子会社の設立
    今回の規制の見直しは、決済関連事務の合理化を通じたコストの削減などをねらいとして、金融グループ内での連携・協働を容易にする施策という側面も持ち合わせています。また、資産運用などグループ内で重複する業務の統合にも追い風となるなど、再編を含む金融機関の戦略にも影響を与えることが予想されます。

金融庁では、有識者で構成する検討会を設け、早ければ2016年の通常国会にも新法を提出する予定です。

しかし、金融持ち株会社の子会社の事業範囲を広げることによる新しいビジネスモデルやサービス提供には、これまでと違った新たな事業リスクが生じることが考えられることから、規制の見直しとあわせて、より一層のコーポレートガバナンス強化の必要性も指摘されています。このようなリスクを回避するため、本業と全く関係がないような出資は認められない方向で検討が進むとみられます。

※Fintech
FinanceとTechnologyを合わせた造語。近年、金融とITを組み合わせて新たなソリューションやサービスを提供するベンチャー企業などを指す。

NRIの取り組み

NRIでは、Fintechに関連して新しいビジネス・サービスを創出するための欧米の事例調査・技術調査および各種の実証実験を実施しております。
三菱東京UFJ銀行主催のビジネスコンテスト「三菱東京UFJ銀行 Fintech Challenge 2015」に協賛したのはその活動の一環です。
また金融グループのコーポレートガバナンス・リスク管理に関しても研究員を中心に発信を続けております。


詳しくは各営業担当までお問い合わせください。

このページを見た人はこんなページも見ています