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第3回NRIグローバル規制カンファレンス2016報告

2017年1月号

ホールセールソリューション企画部 小林孝明, 片岡佳子

野村総合研究所(NRI)は2016年10月12日に「第3回NRI グローバル規制カンファレンス2016」を開催した。

 本カンファレンスは、グローバルに金融規制が複雑化・高度化する中、効率的な規制対応を実現するRegTech(※1)ソリューションの動向を見据えながら、金融機関が抱える課題とその解決に向けたケーススタディの共有を目的に実施している。第3回は「金融機関の経営品質を高めるデータマネジメントの実現に向けて~データガバナンスのベストプラクティス~」と題し、金融庁および日本銀行に基調講演をいただいた他、米国金融業界のデータガバナンス推進団体であるEDMカウンシル(Enterprise Data ManagementCouncil)や、内外金融機関の最高データ管理責任者であるチーフ・データ・オフィサー(CDO:Chief Data Officer)に登壇いただいた。

 各講演者からはデータガバナンスの高度化を実現するための論点や、グローバルで事業展開している金融機関におけるデータガバナンスの事例が紹介された。

 メガバンク、信託銀行、地方銀行、証券会社、保険会社などから、100名を超える方々にご参加いただいた。以下、当日の講演模様について報告する。

基調講演① 金融機関のビジネスモデルを支えるデータガバナンスの重要性

金融庁検査局総務課長兼モニタリング総括監理官 堀本 善雄氏

堀本 善雄氏 金融庁の堀本善雄氏から、金融行政の変遷と新しい検査・監督のあり方、ビジネスモデルの持続可能性へのアプローチについて、データガバナンスとの関係を中心にお話いただいた。

 金融庁は、日本の金融機関のビジネスモデルに大変な危機感を持っており、今後の金融機関経営には持続性のあるビジネスモデル構築が最重要課題であると考えている。この解決のためには、経営陣はもっとリーダーシップを発揮し、機動的な戦略立案やリスクガバナンスを確立することが重要であり、その前提として、データガバナンスが必要である。

チュートリアル データガバナンスに関する基本的理解

野村総合研究所 上級研究員 小林 孝明

小林 孝明 これからデータガバナンス高度化の検討を開始される金融機関にも講演内容の理解を深めていただけるよう、本分野の業界動向などの解説を行った。

 規制当局が金融機関に求める徴求データの粒度は一層細かくなっている。また、経営統合等により複数の組織や部門にまたがってデータを統合管理する必要性が生じており、経営データの管理基盤を整備し、組織全体でデータを管理することやガバナンス体制を確立することが求められている。このような背景のもと、EDMカウンシルが提唱する、金融機関におけるデータガバナンスの標準化手法や推進ツールを理解することが、国内金融機関にとって大いに参考になるであろう。

Principles of Data Management

EDMカウンシル マネージング・ディレクター Michael Atkin氏

Michael Atkin氏 Michael Atkin氏は、現在、米国財務省のデータ・コミッティや、金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)などのメンバーとして活動している。金融機関におけるデータ管理の目的と管理プロセスについて解説いただいた。

 データには、生成・格納・配信など処理プロセスに着目した捉え方と、ビジネスの持つ意味に着目した捉え方の2つの側面がある。金融機関はこれら2つの側面において、データがどのように作られるかを明確化することが重要である。

 現在、金融機関にはいくつもの金融商品や金融サービスが存在し、各々の目的に合ったデータとそれを管理するITインフラが個別に構築・管理されている。そのため、システムをまたがってデータの相互関係性を確保することは、相応の困難を伴う。同時に規制当局においても、金融機関ごとにデータの定義が異なる理由から、徴求データを利用しても金融システム全体におけるリスク関連性の把握やその影響範囲を把握しにくいという課題がある。

 このような状況を踏まえ、金融危機以降規制当局は、徴求するデータの意味や、データが生成されるプロセス等を把握できるよう、「実効的なリスクデータ集計とリスク報告に関する諸原則(BCBS239)」を公表した。この諸原則は各国で大手金融機関への導入が義務化され、各金融機関においてはデータをより適切に管理することが求められた。

 多くの技術革新によりデータの管理手法は格段に向上しているが、特に以下の4つの観点からデータを管理し、データガバナンスを確立すべきである。
①データの識別・記述・所在の把握
②ビジネス要件を満たすデータ品質
③信頼できるデータ確保にむけたデータガバナンス
④ データ利活用に向けたインフラ整備、既存インフラとの整合性確保

 データガバナンスの確立には、データ品質の戦略や、データ識別子の標準化、オントロジー(※2)技術、自然言語処理技術など、新たな戦略や技術の活用が求められている。しかしながら最も重要なのは、トップダウンでの明確な目標設定だと考える。

 規制当局においても金融機関においても、目指すべきデータガバナンスの姿は、より適切にデータを管理することであり、官民が協調して対応を進めることが必要である。

Evolution of Data Management

EDMカウンシル 上級アドバイザー John Bottega氏

John Bottega氏 John Bottega氏は、シティバンクで金融業界初のCDOを務めた人物であり、またNY連銀などでもCDOを歴任した経験を持つ。こうした実務経験を基に、データ管理の課題と米国を中心とした業界での対応について解説いただいた。

 ITの発展によりデータ管理技術は高度化し、データは簡単に複製されたり配信されることで再利用が可能になったが、その反面、類似データがあらゆる組織のあらゆるシステムに拡散する事態を招いた。このような状況において、各々のデータの整合性が確認されないままにデータが再利用されていたため、金融システム全体でのデータ分析が非常に複雑なものとなり、先の金融危機収束が長期化することにつながった。

 規制当局は、金融危機時にデータは揃ってはいたものの、品質が悪かったという反省から、徴求データの品質確保が必要であるとした。これを受け、多くの金融機関がデータの品質確保のためにCDOを任命し、データ管理の課題に対して取り組むこととなった。今後は、規制当局と金融機関の連携が求められる。

 金融機関におけるデータ管理には、規制対応など守りだけではなく、攻めの目標を持つことが重要である。データ管理高度化における目標として、業務の効率化、マーケティングを通じた収益増大、デリバティブなどモデル戦略の高度化、マーケット変化への対応力の強化などがある。これらの目標を実現するためには、ITインフラの整備だけではなく、データ自体に対しても品質確保や利活用プロセスの設計などを含めた、組織全体でのガバナンス機能の向上が必要である。

 データ管理とは、データから最大限の価値を引き出すことであり、それを実現するためCDOの役割として、
①企業カルチャーの変革リーダーであること
②データの意味情報に関する責任を持つこと
③ベストプラクティスを実行すること
④他の経営層と連携すること
が求められる。

EDM Council - Its charter and focus FIBO & DCAM

John Bottega氏/Michael Atkin氏

 EDMカウンシルのお二人より、カウンシルの設立経緯や活動内容を紹介いただいた。

 EDMカウンシルは、データ管理に関する課題や対応方法の共有を目的として2005年に設立された非営利団体である。金融機関のCDO、データ管理担当者のほか、規制当局や関連ベンダーがメンバーとなり、業界標準ルールやベストプラクティスの作成を通じてデータ管理の実務を支援している。

 代表的な活動は、データ管理のベストプラクティス共有や、業界共通基盤であるオントロジーの構築などである。

 最初に紹介する、データ管理のベストプラクティスを目指した「データ管理能力アセスメントモデル(DCAM:Data Management Capability Assessment Model)」は、データ管理の効率的な実行を支援するもので、内容は大きく以下の6つの観点で構成される。
①データ管理戦略とビジネスケース
②データ管理プログラムと予算配分
③データ・アーキテクチャ
④テクノロジー・アーキテクチャ
⑤データ品質
⑥データガバナンス

 観点ごとに実行能力(Capability)、能力詳細(Sub-Capability)、達成目標(Objectives)の3つの詳細チェック項目を設け、それぞれの項目において実務的な観点から業務モデルを記載している。既に300名以上のデータ管理担当者が本モデルを活用している。そしてそこから挙がってきたテーマごとにワーキンググループも設置している。ワーキンググループでは、データガバナンス手順書の作成や、CDOとチーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー(CISO:Chief Information Security Officer)との情報連携などを行っている。

 また、DCAMを活用した業界サーベイも行っている。2015年のサーベイ結果によると、欧米金融機関の多くは、戦略策定や組織体制など外形的要件は一定程度整備したが、データリネージの解明(※3)やデータプロファイリング(※4)の作成、管理ルールの組織全体への定着などは、まだ途上であることが分かった。

 次に紹介した活動は、業界共通基盤となる「金融ビジネスオントロジー(FIBO)」の構築である。FIBOは、商品モデルやプライシング、契約など業界共通データの標準化を目指した概念モデルである。金融商品は金融機関ごとに名称や仕組みが異なるが、その意味に着目し、同じ意味を持つデータ同士を明らかにすることで業界内で利用できるよう、構造化されたモデルである。契約の部分についてはブロックチェーンを通じたスマートコントラクト(※5)等の要件も盛り込んでおり、対応が完了している。今は、商品モデルに取り掛かっている段階である。今後、プライシングと発行プロセスについて対応予定である。

 FIBOは現在、大手金融機関9行の協力を得てモデルを検証しており、今後も各関係者と連携しながら進める方針である。

基調講演② 金融データをめぐる課題と展望

日本銀行 金融機構局金融データ課長 田口 哲也氏

田口 哲也氏 日本銀行の田口哲也氏からは、金融機関のデータ管理や規制当局によるデータ収集を巡る欧米の動向及び、本邦におけるデータ活用高度化の観点から、利活用サイクル(エコシステム)に求められる考え方を解説いただいた。

 近年、バーゼル規制をはじめ各種規制当局からの要請もあり、金融機関におけるデータ管理に対する要求が、質的・量的に厳しくなっている。例えば米国では、ストレステスト関連対応の負担の重さが業界で課題となっている。欧州でも、AnaCreditプロジェクト(※6)などを通じて、金融機関から大量の明細データを収集する計画が進められている。

 わが国金融機関においては、規制対応に向けたデータ管理という発想から脱却して、より付加価値の高い金融サービスの提供やリスク管理の精度向上という観点から、データ活用の高度化を図っていくことが期待されている。

 通常、顧客企業は複数の銀行と取引を行うため、金融機関が自行の口座の入出金情報だけで顧客の資金の流れの全体像を把握することは難しい。しかし、他の金融機関や第三者企業と連携できれば、自行の情報量の制約を打破して、より効果的なサービスやきめ細かなリスク管理に資する可能性が考えられる。

 最近FinTechで注目されているAPI(※7)や、近年進化してきたビッグデータ関連の新技術は、セキュリティなどの考慮は要するが、従来の方法に比べ、より柔軟なデータ利用や連携を容易にするだけではなく、既存システム資産との親和性を備えるものが多い。

 新しい技術の活用は金融機関にとって、既存システムに大きな改修を施すことなく、蓄積しているデータの有効活用を考えるうえで、選択の余地を大きく拡げるものである。

事例紹介 Data Management in Practice

ING銀行 グループCDO Christopher Bannocks氏

Christopher Bannocks氏 G-SIBs指定の銀行グループであるINGにおいて、グループ全体のデータガバナンスの責任者を務めるChristopher Bannocks氏より、グローバルでのデータ管理戦略とその実践内容について解説いただいた。

 INGでは、データ管理をグループ全体の重要戦略の1つと位置づけている。規制対応だけでなく、業界に先んじたビジネス展開、特にFinTechなどの分野においても、迅速なデータ管理が必要だとしている。

 こういったデータ管理の重要性はCEOをはじめとする経営層に理解されている。データ管理に関する目的、各担当の責任や役割範囲、関連するステークホルダーなどが「グローバルデータ戦略計画書」に記載され、それは取締役会の承認を得ている。本計画書は、組織やデータのアーキテクチャー、データを中心とする組織カルチャー、そしてガバナンス体制という3つの重要な軸から構成されている。

 データ・アーキテクチャーは、各国拠点の独自システムに共通ETL(※8)を導入することでデータ収集時に標準変換し、グローバルでデータリネージの解明を可能にした。現時点で半数の拠点が導入を終了し、2017年中には全拠点で導入が完了する。ガバナンス体制は、COO配下にグループCDO、さらにその下に16のローカルCDOを設置している。グローバルとローカルそれぞれにデータ委員会を設け、各拠点でCIOとCDOが密接に連携している。

 レポーティング品質に関するデータ管理手法の具体例として、欧州では国ごとに企業分類コードにおけるSME(中小企業)の定義が異なるため、企業の単位より下位にある「従業員数」や「財務数値」などのデータを共通項目として定義している。これらの項目を集計キーとして利用することで、企業レベルのデータ集計が可能となり、レポーティングの品質を管理できるようになった。

事例紹介 グループレベルのデータガバナンス態勢構築

三菱UFJフィナンシャル・グループ 常務執行役員グループCDO 亀澤 宏規氏

亀澤 宏規氏 MUFGグループCDOである亀澤宏規氏からは、グループ経営管理を目的とする持株MIS・グループMIS(MUFG経営情報システム)の解説と、MUFGとしてのデータ管理戦略についてご紹介いただいた。

 MUFGでは、2年前より持株会社及びグループ各社にCDOを設置し、中期経営計画で言及された持続的なグループの成長に向けて、グループレベルの迅速かつ適切な経営判断に資するリスク管理・経営管理体制の高度化を推進してきた。また、G-SIBsに指定された銀行グループとして、「実効的なリスクデータ集計とリスク報告に関する諸原則(BCBS239)」の遵守も求められた。

 このような背景のもと「MUFG経営・リスク管理情報高度化プロジェクト」として、持株によるグループ各社のデータ自動収集を実現する「MUFG経営情報システム(持株MIS)」の開発と、データの信頼性を支える組織・ルール整備等の「データガバナンス態勢の整備・強化」を両輪に体制強化を図ってきた。MUFGの経営情報室が中心となり、持株とグループ各社のコミュニケーション強化を推進し、システム構築を事務・システム企画部が担当した。規制対応として2015年末までに、リスク管理データを中心とした集計機能の強化を行った。今後は収益などの経営管理データの収集も検討していく。

 MIS開発の側面においては、「頻度・鮮度」「精度」「粒度」「カバレッジ」の観点で、データ収集プロジェクトを推進した。持株における既存の市場リスクやオペレーショナルリスクの管理システムに加え、新たに信用リスクや資金流動性リスク、名寄せのシステムを開発し、グループ各社からデータを自動収集する。今年から、収集したデータの経営宛てリスク報告や当局報告への活用も開始している。

 データガバナンス態勢の整備・強化の側面としては、BCBS239への対応を最優先し、①重要なリスク報告書を特定し重要なデータ要素(CDE:Critical Data Element)を定め、②データディクショナリを構築し、③データの品質維持の基準・手続を制定し、④体制・規程類を整備した。これらの作業には1年以上の期間を費やした。

 CDOの役割について、リスク管理だけでなく、今後の検討テーマであるマーケティングを含めるなど再定義を行い、経営目標の実現に向け、MIS整備とデータガバナンス強化を順次進めていく計画である。

事例紹介 データガバナンス高度化に向けたアプローチのご紹介

野村総合研究所 主任コンサルタント 片岡 佳子

片岡 佳子 最終セッションでは、データガバナンスの高度化に向けたITソリューションの活用事例を紹介した。

 膨大なデータを有効に活用するためには、複雑に絡みあったデータを整理した上で、一元管理の元でデータを維持・更新する枠組みを整備する必要がある。具体的には、①データの関連付け・構造化、②同義データの整理・統合、③データオーナー(※9)やスチュワード(※10)の任命・権限の明確化、といった作業が求められる。

 多くの企業で、こうした作業を支援するデータガバナンス・ツールが利用されている。Collibra(カリブラ)は、金融機関で最も多く採用されているデータガバナンス・ツールの一つである。Collibraは、上記①~③の作業に対応する「データ・グロッサリー」、「リファレンスデータ管理」、「データ・スチュワードシップ」等の機能を備える。特徴として、既存データベースは保持したままで、メタデータ(※11)や管理者権限等の情報を付加できる点が挙げられる。それにより、初期コストを抑え、部分的または試験的にツールを導入し、実効性を確認するというアプローチが可能となる。

 実際の導入事例としてグローバルに事業展開する金融機関が先行的に一部拠点にCollibraを導入し、その成果を踏まえて、他拠点でもCollibraを用いながら段階的にデータガバナンスの高度化を実現しており、データガバナンス・ツールの有用性が確認できる。

事例紹介 Best Practices for Data Governance

Global IDs社 CEO Arka Mukherjee氏

Arka Mukherjee氏 Arka Mukherjee氏はデータ管理ソリューションを提供するGlobal IDs社で15年間CEOを務めている。提供サービスの概要と導入事例を紹介いただいた。

 Global IDsは、データ管理を実装するソリューションを提供している。データガバナンスの中でも、最も重要なデータ管理領域において、CDOの役割を支援するソリューションである。

 提供サービスは、データガバナンスにおける重要な6つの機能を用意しており、いずれも作業の8割以上を自動処理できる。①「データ・ディスカバリ」機能は、自動でメタデータのレポジトリ(※12)を作成する。数百ものデータベースでも2-3ヶ月で対応可能である。②「データ・プロファイル」機能は、データ項目の統計的解析を行う。多くの大手金融機関で採用されている。③「データ構造化」機能では、全データを解析して関連性等を把握し、重要データ要素(CDE)を抽出・定義する。④「データリネージ」機能は、アプリケーションやデータベースの情報からリネージ図を作成する。⑤「データ品質」機能は、フォーマットルールやビジネスルールを設定し、ダッシュボードを活用してCDEの品質管理を行う。最後に、⑥「全体プロセス管理」機能で、上記5つの機能の実行および結果の監視を行う。

 金融機関の業務を見渡すと、あらゆる業務からデータが生成されており、そのデータ品質を管理することが重要である。紹介したサービスは、こういった作業の自動化を可能とし品質管理の高度化を実現できる。

カンファレンスの評価と今後

 金融機関のデータガバナンスに特化したカンファレンスは国内では初の開催であり、参加者からは「データガバナンスに関する情報が少ない中、大変有意義なカンファレンスであった」との評価を多く頂戴した。

 特に、国内外金融機関のCDOによる実務的なプラクティス紹介については「今まではデータガバナンス高度化のメリットが分からなかったが、規制対応の先に、収益に寄与するデータ管理が存在することが理解できた」といった意見を頂戴した。

 NRIでは、今後もグローバルビジネスを展開する金融機関の経営品質の向上や、効率的な規制対応の実現を促す重要テーマを取り上げ、課題解決に資する情報を提供していく。

1) RegTech:規制(Regulation)×技術(Technology)を組み合わせた造語。2015年頃より英国を中心に注目されている領域。複雑・高度化が進む金融規制に対応する、新しいITを活用したソリューションを指す。
2) オントロジー:対象物の概念的な階層構造や、意味を体系的に定義する情報言語のひとつ。
3) データリネージ:数値データがビジネスシーンの目的に沿って計算を繰り返し利活用されていく時、それぞれの計算前後の連続性(トレーサビリティ)のつながり全体(データチェーン)のこと。
4) データプロファイリング:企業内に分散する各データの内容や所在、構造などを確認把握することを指す。
5) スマートコントラクト:金融取引などの契約の条件確認や履行までを自動的に実行するコンピュータープロトコル。
6) AnaCredit:Analytical Credit Datasetsの略であり、ECB主導で2018年中に導入予定。域内金融機関に対して、EUR25,000以上の法人向けのローン詳細情報を含むクレジットデータを収集するもの。
7) API:Application Programming Interfaceの略であり、あるシステムが管理するデータを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約のこと。FinTech分野では「Open API Initiative」が標準化を提唱している仕様が実質標準となっている。
8) ETL:Extract/Transform/Loadの略であり、外部システムからデータを抽出し、抽出したデータを目的に応じて変換・加工し、目標とするシステムへ加工済みデータをロードする一連のシステム機能を指す。
9) データオーナー:当該データを有効に利活用するユーザー(いわゆる受益者)のうち、もっとも入力ポイント(発生源)に近いユーザーを示す。
10) データスチュワード:特定の業務目的達成のために必要なデータを特定し、どのようにデータを収集するかの方法を検討し、実際にデータを収集する実行責任者。
11) メタデータ:データそのものではなく、データに関する付随的な情報を示す。例えば、データのタイトルやデータ作成日などの付属情報や、その形式などのシステム定義情報がある。
12) レポジトリ:データや情報を体系立てて、一元的に保管するシステム上の場所を示す。

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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Writer’s Profile

小林 孝明

小林孝明Takaaki Kobayashi

金融デジタル企画一部
上級研究員
専門:リスク経営管理、規制動向調査・分析

片岡佳子

片岡佳子Keiko Kataoka

金融デジタル企画一部
上級研究員
専門:金融関連ソリューション企画

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