1. HOME
  2. 刊行物
  3. 金融ITフォーカス
  4. カテゴリから探す
  5. デジタルイノベーションPreview
  6. NRIイノベーションシンポジウム2016レポート

NRIイノベーションシンポジウム2016レポート

2016年12月号

デジタルビジネス開発部 上級コンサルタント 内山昇

日本ならではのイノベーションのあり方について考える、「NRIイノベーションシンポジウム2016」を9月21日に開催した。当日はITでビジネスの変革を目指す企業のマネジメント層を中心に、さまざまな業種の企業や団体から333名の方々に参加を頂いた。当日の模様を報告する。

 NRIは、多様な企業や研究機関とのパートナーシップを通じて新しい価値を創造する「オープン・イノベーション活動」を推進している。その活動の一端を紹介する場として、9月21日に「NRIイノベーションシンポジウム」を開催した。ここでは、当日の講演について、簡単に紹介したい。

オープン・イノベーションは、突破口か自己矛盾か?

 基調講演では、シリコンバレーでNet Service Venturesを興し、数多くのベンチャー投資と事業育成コンサルティングを手掛ける校條(めんじょう)浩氏が登壇。「イノベーションの実現には、顧客の声ではなくベンチャーの声を聞け」、「日本では、IoTのT(Things)を重視するが、シリコンバレーはI(Internet)。このカルチャーの違いが決定的な差となって現れている」、「大企業がベンチャー企業を見極めるには“スーパーエンジェルVC”を有効活用すべし」など、独自の視点からの具体的な提案とともに、ベンチャーがイノベーションを牽引している米国の現状、シリコンバレーから見た日本企業の課題を指摘した。

日本企業からはじまるイノベーションの本質とは

 続いて行ったパネルディスカッションでは、日経ITイノベーターズ編集長の戸川尚樹氏をモデレータに、前出の校條氏、デザインの力で企業のビジネス変革を手掛ける株式会社ziba tokyo代表の平田智彦氏、8月1日に設立したNRIデジタル株式会社社長の雨宮正和、そして当社上級研究員の城田真琴の4名が「なぜ今、日本企業にイノベーションが必要なのか」、「日本でデジタルイノベーションが進展しない理由」などについて意見を交わした。「陳腐化を防ぐために常にイノベーションが必要」、「デジタルイノベーションが進展しないのは権限の問題」、「まず“番長”が必要。その後に“級長”が必要」、「変革のきっかけは、さまざまな刺激」など活発な討論の後に、「最初の一歩を踏み出すには?」の戸川氏の問いに、各者が参加者に向けたそれぞれのメッセージを披露し、幕を閉じた。

当社アナリストによる「ナビゲーショントラック」

 ナビゲーショントラックでは「IoT」「AI/ロボット」「FinTech」をテーマに、当社の3名のアナリストが講演した。

 はじめに、上級研究員の亀津敦が「IoTがドライブするデジタリゼーション」と題し、IoTが牽引するデジタル化の最新動向について解説した。センサーを活用して付加価値を上げていく“顧客に価値を提供するプロセス”と、コストダウンを図る“効率的に製造するプロセス”の両面で競争が始まっていることを指摘し、業界や企業における、それぞれの取り組みを紹介した。

 次に、上級研究員の長谷佳明が「チャットボットの可能性」について解説。ここ数年のAIやロボティクスの調査から、最近注目されているチャットボットについて解説した。過大な期待をせず、使い分けが有効としながらも、将来的には、APIの共通化や企業間の連携が進むことでチャットボット同士が連携する“マルチボット”によってサービスが高度化する可能性を語った。

 最後は、8月26日に「FinTechの衝撃~金融機関は何をすべきか」を上梓した、上級研究員の城田真琴が登壇。「日本版FinTechの方向性」をテーマに、欧米における進化の状況を踏まえた日本の今後について解説した。「FinTechの土壌として見た海外と日本の違いは金融機関への“信頼度”」と、米国とは状況が異なることを強調した上で、「マイナス金利の厳しい状況の中で生き残る手法として、日本の大手金融機関はFinTechに期待している」と指摘。「日本の大手金融機関の狙いは非金利収入と経費削減」と、各種調査からの分析をもとに解説した。

業界イノベーターによる「イノベーショントラック」

 一方のイノベーショントラックでは、当社の活動に関連する社外のイノベーターに講演を頂くとともに、当社の活動成果を事例として紹介した。

 はじめに、前出の平田氏が、「『Beautiful Experiences』の作り方」と題し講演。“体験のデザイン”“シナリオスケッチ”“デザインの成果”の3つの企業事例を紹介し、デザインによってビジネスにイノベーションを起こすためのヒントを紹介した。「3つの事例で示したのは、体験の舞台装置を作ること、相手に語らせる道具を作ること、一番ふさわしいかたちを作ること。デザインの有効性を理解してイノベーションを進めてください」と語って講演を終えた。

 次に、「イノベーションから事業化へのヒント~NRIの現場から」と題し、当社の事例を紹介した。8月1日に設立した「NRIデジタル株式会社」および6月30日に発表したAI型ソリューション「TRAINA(トレイナ)」を例に、前出のNRIデジタル社長の雨宮と、TRAINAの事業責任者であるビッグデータイノベーション推進部長の堀宣男から、自らの取り組みを通じて得た、企業のデジタル化の課題と解決策について解説した。

 最後に、「起業家と投資家を繋ぐ」をコンセプトに、スタートアップの取材を続ける株式会社THE BRIDGE代表取締役の平野武士氏が、国産スタートアップの現状を解説した。平野氏は「“ベンチャー”と“スタートアップ”は違う」と言い、平野氏が注目する4人の起業家の姿を通して、日本のスタートアップが向き合っている現実を紹介した。

 当日は、講演以外にも、公開QAセッションやミニプレゼン&デモンストレーション、NRIハッカソンのキックオフイベント等を併催し、多面的に当社の活動を紹介した。

 詳細は以下のサイトに公開予定である。是非ご覧頂きたい。http://innovation.nri.co.jp/

※組織名、職名は掲載当時のものです。

印刷用PDF

Writer’s Profile

内山 昇

内山昇Noboru Uchiyama

IT基盤イノベーション本部 ビジネスIT推進部
上級コンサルタント
専門:マーケティング

このページを見た人はこんなページも見ています