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海外トピックス

2015年1月号

・ウェルズ・ファーゴ、金融ITスタートアップ企業に対する支援プログラムを開始
・新議会で注目される米銀のSIFI認定基準の行方
・米会計検査院がノンバンクのSIFI認定プロセス改善を勧告する報告書を発表
・米銀行監督当局、流動性カバレッジ比率に関する最終規制案を承認

ウェルズ・ファーゴ、金融ITスタートアップ企業に対する支援プログラムを開始

 大手米銀ウェルズ・ファーゴは、金融IT分野におけるスタートアップ企業に対して「ウェルズ・ファーゴ・スタートアップ・アクセラレーター」プログラムの提供を開始した。このプログラムでは、スタートアップ企業に半年間にわたって事業計画の作成に必要なノウハウなどを提供するとともに、それぞれ5~50万ドルの出資を行う。

 対象となる金融IT分野は特に限定されていないが、データ分析、ビッグデータ、モバイル、セキュリティ、インフラはどれも重要分野である。参加企業の募集は年2回で、毎年10~20社のスタートアップ企業を選抜する計画である。初回のプログラムは昨年10月1日に締め切られたが、申請企業は海外企業を含め200社を大きく超えた。

 ウェルズ・ファーゴの目的は投資リターンではなく、新しいアイデアに早い段階で触れることにある。近年、モバイル決済などの分野では技術革新が金融業界以外で起こることも多く、そうした技術革新をいち早く取り込むことを意図している。

新議会で注目される米銀のSIFI認定基準の行方

 昨年11月の米中間選挙で共和党が上院で多数派となり、ドッド・フランク法を見直す動きに弾みがつきそうだ。中でも、銀行持株会社のSIFI(システム上重要な金融機関)認定基準を総資産500億ドル以上とした同法の規定については、共和、民主両党で変更を求める声が広がっている。

 指摘されている問題の第一は、閾値が総資産500億ドルと低いこと。この水準では金融システムの安定性を脅かすとは考えにくい伝統的な銀行モデルの地方銀行もSIFIに認定されてしまうという。民主党のブラウン上院議員は、地元オハイオ州の有力地銀3行はいずれも総資産が500億ドルを超えているが、破綻しても金融システムの安定性を揺るがすことはないと公聴会で訴えた。FRBのタルーロ理事も、破綻処理計画の作成やストレステストの実施などは1,000億ドル以下の銀行には必要はないのではないかと述べている。

 問題の第二は、SIFIか否かの判断が銀行の業務内容などを考慮せず総資産の水準だけで機械的に行われること。共和党のルークマイヤー下院議員は昨年、金融システムの安定性を脅かさないか金融安定監督評議会(FSOC)が様々な要素から総合的に判断して決定することを求める法案を提出した。同法案は80人を超える議員が共同提案者として名前を連ね、全米銀行家協会の支持も取り付けた。

米会計検査院がノンバンクのSIFI認定プロセス改善を勧告する報告書を発表

 米会計検査院(GAO)は昨年11月、金融安定監督評議会(FSOC)に対してノンバンクのSIFI(システム上重要な金融機関)認定プロセス改善を勧告する報告書を公表した。

 FSOCはドッド・フランク法に基づいて2010年に設置された機関で、金融システムの安定性を脅かす可能性のあるノンバンクをSIFIに認定するのも主な業務の一つ。AIG、GEキャピタル、プルデンシャル・フィナンシャルの3社に続き、12月にはメットライフをSIFIに認定している。しかし、FSOCのSIFI認定プロセスについては、かねてから議会でも透明性に対する批判が高まっていた。

 今回の報告書では、FSOCの評価対象となった会社は概してFSOCとのやり取りに満足していたとしながらも、認定プロセスには欠陥が存在し十分に透明化・体系化されていない、と指摘された。具体的な勧告としては、重要な評価手続きの日付や評価関与者の情報を体系的に記録すること、SIFIに認定した会社が認定基準を満たしていると判断した理由の詳細を公開文書で示すこと、など6項目が示された。

米銀行監督当局、流動性カバレッジ比率に関する最終規制案を承認

 米銀行監督当局は昨年9月、大銀行を対象とした流動性カバレッジ比率(LCR)に関する最終規則案を承認した。これはバーゼル銀行監督委員会が2013年1月に公表したバーゼルⅢのLCR基準を国内法制化したものである。LCRは「適格流動資産(HQLA)ストック/ストレス状況下で予想される30日間の純資金流出額」で定義され、最終的に、LCR≧100%とすることが求められる。

 米国基準はバーゼルⅢ基準に比べて一部資産のHQLAとしての扱いなどいくつかの点でより厳格な内容となっている。また、移行期間はどちらも2015年に始まるが、100%以上を求められる完全実施は2年早い2017年に設定された(図表)。

 この基準の対象となるのは総資産2,500億ドル以上の銀行持株会社(BHC)などで、500億ドル以上2500億ドル未満のBHCには簡便な修正LCR基準が適用される。総資産500億ドル未満のBHCには適用されない。

 バーゼルⅢの流動性規制にはこのLCR基準ともう1つ、安定調達比率(NSFR)基準がある。NSFR基準は中長期の安定的な資金調達を求めるもので、こちらも今後、国内法制化が図られる予定。米銀行監督当局ではさらに、G-SIBs(グローバルにシステム上重要な銀行)に対するリスクベース自己資本のサーチャージに、短期ホールセール調達への依存度を反映させることも計画している。

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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