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合コンにおける幹事の重要性

2014年12月号

能勢幸嗣

この号が出版されるのは12月。街がクリスマスに向けて浮足立ちつつあるはず。そこで今回は、クリスマスらしく(?)、出会いについて書こうと思う。

 経済学やファイナンスの専門家というと、出会いとか結婚とか私の好きなその種の世俗的な話と一番対極にいるように思われがちだが、実はその知見・論理を出会いというある種の市場取引に適用することで、人類の福祉・幸せにも多大な貢献をしている。

 出会いの一種である合コン関連問題については、D.GaleとL.S.Shapleyという二人の経済学者が50年以上前の1962年に「College Admissions and theStability of Marriage」という論文において、その理想的なマッチング方法を実現するアルゴリズムについて明らかにしている(Gale-Shapleyアルゴリズムとよばれており、日本でも研修医と受入先病院の割当に活用されている)。L.S.Shapleyは、その後も研究を重ね、「安定配分理論と市場設計の実践」に対して2012年ノーベル経済学賞を受賞している。

 そのアルゴリズムは以下のようなものである。N人対N人の合コンを想像してほしい。

  • 男性が、第一希望の女性に一斉にプロポーズ
  • 女性は一人からプロポーズされた場合は、その彼をキープ。複数からプロポーズされた場合は好みに近い男性をキープ(残りの男性は拒否られる)
  • 拒否られた男性陣は、また一斉に次の好みの女性にプロポーズする(女性にキープ君がいても可)
  • 女性はキープ君がいても、好みの男性がくれば変更可能。残りはまた拒否られる
  • 拒否られる男性がいなくなるまで続行

  “実務”では、何度も男性陣に恥をかかせられないので、iPhoneアプリを使ってシミュレーションにてペアを決定するのが良いと思われる。ただ、このアルゴリズムを適用するには3つの注意事項がある。

 一点目は、これは全体としての「組合せの安定」であり、誰もが一番好きな人とペアになれるわけではないこと。二点目は、プロポーズする側(上述の場合は男性側)から見た満足度が高い結果となるようであること。最後の三点目、最も重要なのは、参加者全員が誰かとペアになろうという意思があり、かつ参加者は互いの順列をつけられることが前提となっている点である。つまり合コンで彼女/彼氏を見つける本気のメンバーを揃え、かつ順列をつけられるだけの情報を集めないといけない。幹事は「マーケットデザイナー」として、全員の合コンに賭ける意思の確認、互いの情報や好みの把握など大変な役割が求められるのである。

 そう言えばM井君、この前紹介した女性陣との合コン、幹事しっかり頼むよ!

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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Writer’s Profile

能勢幸嗣

能勢幸嗣Koji Nose

金融ITイノベーション事業本部 事業企画室
室長

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