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巻頭言

2014年12月号

金融ITイノベーション事業本部長 執行役員 小粥泰樹

早いもので金融ITフォーカスは2004年11月に初刊を発行して以来、2014年12月をもって丸10年を迎えました。この10年間を改めて思い起こすと、発行開始当初には予想できなかった事象が次々と発生し、結果として不可逆的な大きな構造的変化が金融業界全体に生じていることを実感します。

特に、この10年間にはリーマンショックと東日本大震災という想定を超える大きな事件や災害が発生しました。リスクをリスクとして認識するだけでなく、如何にそのリスクに立ち向かうかという具体的な対策が議論され、想定外のリスクに対する人々の認識レベルが質的に向上したというのが、金融を取り巻く社会全体としての変化という意味では一番大きかったのではないかと思います。

 では巨大地震や金融危機の次に金融業界に影響を与えた要因は何か、と問われればどうでしょう?中国等アジア諸国の経済的発展、世界同時の低金利政策、世界的な地政学的リスクの拡大、などいろいろ意見の分かれるところでしょうが、IT(情報技術)の影響の大きさを指摘する人も多いのではないでしょうか。

 ネットワークやサーバー機器等の機能向上に支えられた株式の高速取引、タブレット端末等の新デバイスが抜本的に変える顧客対応の在り方、この他にも目に見える変化として幾つも具体例が挙がります。また、サイバーテロや個人情報保護、風評被害などへの対応をどうするか、といったITの進歩によってもたらされる新たな課題も浮上しました。IT環境が猛スピードで変化する中、それにキャッチアップするだけで大変という状況が続き、金融機関として戦略的分野への投資余力を如何に確保していくか、という事もより強く意識されるようになりました。

 これらの事象の根底にあるのは、この10年間で金融機関の内と外におけるIT進化のスピードが完全に逆転してしまったという事実です。このIT進化の逆転現象は、単に金融機関にとってのIT投資の在り方に課題を突き付けるだけでなく、情報創造機能に依拠した金融ビジネスの在り方自体を変えていく力を秘めています。この10年も変わったけど今後の10年はもっと変わる、そんな予感がします。

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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Writer’s Profile

小粥泰樹Yasuki Okai

金融ITイノベーション事業本部 副本部長
研究理事
小粥研究理事の視点 掲載中

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