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ソチ2014

2014年2月号

金島一平

まもなく2月7日からソチオリンピックが開幕となる。フィギュアスケートやカーリングなど、日本人選手の活躍が期待される競技の話題は尽きないが、広大なロシアの中で開催地ソチの場所をご存じの方はそう多くないだろう。

 ソチは、首都モスクワの南方およそ1400キロ、黒海の東側に位置している。「酷寒の地ロシア」というイメージとは相容れず、亜熱帯性気候で一年を通して温暖で過ごしやすい。ソ連時代に保養地として整備され、スターリンをはじめとする歴代の指導者が別荘を構えるなど、ロシア随一のリゾート都市と言われている。―このように書くと、雪が降るのか疑問を持たれるかもしれないが、スキーやスノーボード、ジャンプ等、雪を必要とする競技はオリンピック・パークから少し離れた山岳地帯にある別会場で開催される予定だ。

 ロシア国内では名高いソチだが、国際都市といった趣には乏しく、オリンピック開催に向けては交通網の整備が至上命題とされた。例えば、市内に国際空港はあるものの、発着便は国内線が大半を占め、数少ない国際線も旧ソ連構成国を繋ぐ路線ばかりという状態であった。また、鉄道駅は設備も古く、大勢の人員輸送に対応するには十分とはいえなかった。こうした状況を打開するため、プーチン大統領の指揮で巨額の投資が行われ、大規模なインフラ整備が進められた。

 その結果、空の便はモスクワからソチへの大幅増便はもちろんのこと、海外からのアクセスの利便性を高めるため、フランクフルトやミラノからの直行便の運航が決定。また、鉄道駅も全面改修を行い、見違えるように大きく美しい駅に生まれ変わった。新駅開業と同時に、モスクワとソチを結ぶ新型の寝台特急も運行を開始した。

 一部の専門家からは開発の遅れや過剰投資を指摘する声が聞こえるものの、「止まらない交通網」を用意するために、国家元首の大号令のもと、国内の枠に捉われず海外主要都市からの直行便を新設した点、また、航空便に代わるアクセス手段を用意した点において、今回のケースは非常に興味深い。

 日本国内の大手銀行においても、旧態依然として分散したシステムを統合・刷新し、信頼性、可用性、保守性に優れた新システムを構築しようという計画が進められている。経営陣の強い意志と柔軟な対応のもとで、「止まらないシステム」が予定通りカットオーバーの日を迎えられることを期待したい。

 さて、そろそろ聖火が会場に届いただろうか。日々の鍛錬で磨き上げられた選手たちの活躍を期待したい。「がんばれ!ニッポン!」

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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金島一平Ippei Kanashima

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