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CLSA証券様で、「I-STAR」が稼働

2013年12月号

 2013年6月17日、CLSA証券株式会社様(以下「CLSA証券」、敬称略)において、ホールセール証券ビジネスを総合的にサポートするソリューション「I-STAR」が稼働した。

 「I-STAR」は、ホールセール証券会社のバックオフィス業務である、約定管理、決済管理、証券残高管理、資金残高管理、顧客勘定、会計、対外報告といった機能を備えたシステムである。証券会社は、金融商品取引法に基づく法定帳票の提出や、取引所や証券業協会などの公的機関に対する報告資料の提出が義務付けられており、それらの資料作成機能もI-STARに標準装備されている。取り扱う資産も、上場商品(現物・先物・オプション他)、外国証券、債券、債券貸借、株券貸借など総合的にカバーしている。

 

 野村総合研究所( 以下、NRI)が「I-STAR」のサービスを開始したのは1987年で、日本市場の金融自由化・国際化を機に日本市場に参入しようとしていた外資系金融機関に対して、日本固有の制度・規制に準拠した共同利用型システムを提供することで、ビジネスをスムースに立ち上げる支援を行おうと考えたからだ。その後、金融制度改革などにより異業種からの証券業参入が可能となり、外資系証券会社のほかに銀行子会社などの日系証券会社もI-STARを利用するようになった。

 I-STARのサービス開始の経緯が、外資系金融機関を対象にしていたこともあり、I-STARはグローバルプレイヤーを意識した機能、すなわちバイリンガル(日・英)でのインプット/アウトプット、多通貨会計への対応による外貨ベース/円換算ベースでの会計処理ができるようになっている。

I-STARを選択した理由

高桑毅代表取締役

 CLSA証券は、クレディ・アグリコル証券会社東京支店様(以下、敬称略)の株式ブローカレージ及びリサーチ部門の業務を譲り受けて設立された会社で、2013年6月17日に営業開始した。

 もともとクレディ・アグリコル証券会社東京支店がI-STARを利用しており、CLSA証券設立にあたって、迷わずI-STARの導入を決めた。CLSA証券 代表取締役の高桑毅氏は、「CLSA証券としてビジネスをスタートさせることが最優先でしたので、システム環境を変更することは考えていませんでした。ですので、クレディ・アグリコル証券会社東京支店で使っていたI-STAR以外のシステムを利用するという選択肢はありませんでした。そもそも、I-STARはデファクトスタンダードになっています。それはサービスの質が高いからだと思います」と語る。

 「バックアップ体制がしっかりしているところも、評価できる点だと思います」と高桑氏は続ける。I-STARは、万が一の災害に備えてDRサイトを設置している。DRサイトは、お客様のBCPサイト、日本銀行や証券保管振替機構(以下、ほふり)のDRサイトとも接続される仕組みとなっており、金融庁検査マニュアルで求められている要件を兼ね備えている。

ワンパッケージのよさ

 証券ビジネス上、証券決済業務として、日本銀行やほふりとの接続は欠かせない。I-STARでは、I-STARファミリーとして、決済機関とのリアルタイム接続を可能とするソリューションを提供している(図表2)。

 

業務部
山田部長

 I-STAR/LCは、日銀ネットに接続し、決済内容をリアルタイムに把握するシステムである。当座預金・国債・担保・外為の決済業務をトータルサポートし、当座貸越・国債DVP担保受払を生かした、効率的な資金・証券(担保)の運用を実現する。また、決済内容をリアルタイムに把握することができるため、決済リスクの低減を図ることもできる。

 I-STAR/MXは、ほふりが提供する決済照合システムに直接接続し、照合データの送受信、および、決済照合ステイタスの管理を行うシステムである。

 I-STAR/CXは、ほふりの口座振替システムに接続し、証券残高をリアルタイムで管理するシステムである。また、取引所決済のネッティングができるほか、非居住者決済照合(リリースフラグ管理)を自動化しているためリアルタイムで決済管理を行うことができる。

 また、I-STAR/SCは、証券会社が自社の海外拠点および海外在住の投資家に代わって有価証券を保管・管理するカストディ業務をサポートするソリューションである。

 これらは、各社の業務にあわせた組み合わせで利用することができる。CLSA証券では、開業にあわせてI-STAR/MX、CXも導入した。業務部長の山田智氏は、「バックオフィスシステムのコアにI-STARがあって、そこからMXで照合を飛ばして、CXでセトルメントをやって、という一つの流れで一貫しており、それは当たり前のような流れになっています。一つでも欠けると、とてつもなく面倒なことを考えなくてはならなくなってしまうので、ワンセットで導入することが最も効率的だと思います」と語る。

 また、I-STARを利用することには、人材面でもメリットがある。山田氏は「会社によって使い方は違うかもしれませんが、多くの会社がI-STARを利用し、同じモジュールを使っています。ですので「I-STARの利用経験者」という条件で人を募集できるメリットがあります。トレーニングの必要がありませんし、すぐに即戦力として働いてもらえますので、会社としては非常に安心感があります」と語る。

ビジネスアナリストがプロジェクトを導く

情報システム部
ブレデル部長

 今回のプロジェクトでは、CLSA証券の設立にあわせて、I-STAR、I-STAR/MX,CXを導入することは決まっていた。しかし、その導入スケジュールをたてるのが難しい状況だった。

 情報システム部長のフィリップ・ブレデル氏は、「一般的には、システム導入プロジェクトは、スタートとエンドが決まっています。その決まったスケジュールの中で、何ができるか、どこまでやるかを検討する、という順番です。ところが、今回は、スケジュールが見えないというイレギュラーな状態でした。いつ金融庁から免許がおりるか分からなかったからです。何を入れたいかは明確でしたし、使いたいモジュールも決まっていました」と語る。結局、2013年5月10日に認可がおり、6月17日に開業した。

 ブレデル氏は、「今回の導入プロジェクトで、私が改めて強く感じたのは、アカウントマネージャーやプロジェクトマネージャーの重要性です。ITの者だけではプロジェクトは進みません。ビジネスの流れ、商品の流れを理解しないと駄目です。プロジェクトを管理するには、ITもビジネスも両方ともマスターしていないとうまくいかなくなります。ビジネスとITのずれは結構あります。プロジェクトのミスを見ると、大抵はそういうずれから来ています。IT絡みではいろいろな会社とお付き合いしていますが、IT担当とビジネス担当の両者が出てくる会社が多いです。NRIはそこが違いました。ITとビジネスの両方が分かっている方がプロジェクトマネージャーを務めてくれ、プロジェクト全体をうまくコントロールしてくれました。また、NRIのプロジェクトマネージャーがバイリンガルだったのも、コミュニケーションの上でよかったです」

 また、ブレデル氏は、「CLSAはアウトソーシングを積極的に活用しており、それは日本でも同じです。ですので、CLSA証券のITの人数が、すごく少ないんです。ほとんどが香港あるいはインドのデベロップセンターにいます。ですので、プロジェクトマネージャーにかかる責任は重かったと思います」と語った。

 NRIは、I-STARを通してビジネスの効率性・先進性をサポートするとともに、ビジネスアナリストとしてお客様のパートナーとなりうる付加価値を追求していきたいと考えている。

お客様プロフィール

 CLSAは、香港に本社を置き、アジアパシフィックを中心にロンドン・ニューヨーク等の21都市に拠点をおく独立系株式仲介・投資銀行グループとして、世界の企業と機関投資家向けに株式仲介、投資銀行業務、資産運用サービスを提供している。

 CLSA証券株式会社は、CLSAの日本法人であり、2013年6月17日、クレディ・アグリコル証券会社東京支店の株式ブローカレージ及びリサーチ部門の業務を譲り受ける形で誕生した。

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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