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存在感を増した確定拠出年金

2013年2月号

金融ITイノベーション研究部 富永洋子

 確定拠出年金(DC)が日本に導入されたのは2001年10月、10年余り前のことである。それ以来、爆発的に採用が増えるということはなかったが、確実に資産を増加させ、存在感を増してきている。

 図表1は、企業年金の制度別資産額割合を、本誌創刊当時の04年度末と11年度末とで比較したものである。04年度末では1.5%に過ぎなかったDCが、11年度末には8%を占めるまでになった。より顕著なのは加入者数である。図表2に主な企業年金制度の加入者数推移を示したが、ここでもDCは着実に増加、11年度末には400万人を超え、厚生年金基金と肩を並べるに至った。厚生年金基金や確定給付企業年金と併用している企業も多いが、確定給付型(DB)年金加入者(延べ人数)の3分の1にあたる人数がDCに加入している。それだけ多くの従業員にとって重要な制度となってきているのである。

 一方、DB年金は2000年以降、厚生年金基金の代行返上や適格退職年金の廃止といった大きな制度変更があり、02年4月に創設された確定給付企業年金が大幅に拡大、制度別の構成は様変わりした(図表1)。近年、DB制度は運用環境の悪化や13年度に迫る会計基準の変更など、非常に苦しい運営を迫られている。確定給付企業年金を採用した企業の間でも、DCの採用を検討するところが増加している模様であり、今後DCの存在感がさらに大きくなると考えられる。

 DC創設後、拠出上限の引き上げや従業員によるマッチング拠出の解禁などの制度改正が行われてきた。しかし確定拠出年金では様々な課題も指摘されている。保守的な運用に偏り、制度で想定されている積立額が達成できない人が多いのではないかと考えられることも、その一つである。投資教育の充実が図られているが、なかなか成果が上がりにくい。加入者が投資商品を指定しない場合に適用されるデフォルト商品として、元本変動型商品をデフォルト商品とすることも可能となっているが、実際に採用する企業はまだ極めて少ない。

 近年、投資環境は不確実性を増し、加入者が負う投資リスクは増大している。折から厚生年金基金制度の廃止提案もあり、企業と加入者でリスクを負担しつつ持続可能な制度を構築する提言が出てきている。たとえば、企業が適切と考える運用商品やポートフォリオを選び加入者の同意を得る、集団運用型DCという構想もある。企業・加入者双方に資する制度や商品の提供が期待される。

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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Writer’s Profile

富永

富永洋子Hiroko Tominaga

金融ITイノベーション事業本部
金融イノベーション研究部契約研究員

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