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企業開示、グローバルスタンダードに向けた足早な変化

2013年2月号

資産運用ソリューション企画部 三井千絵

企業開示この10年

 2000年以降、米国の公平開示規則の影響や、投資家の数々のニーズをうけ、日本企業の情報開示は大きく変わってきた。取引所ルールが先行する形で、2000年~04年の間に四半期や連結決算の開示が義務付けられた。また日本市場の国際競争力強化を目指し、米国で取り入れられていた「経営者による財務・経営成績の分析(MD&A)」として経営の状況や事業のリスク、またコーポレート・ガバナンスに関する開示が導入されてきた。さらに従来から行われていた業績予想の開示も全上場企業が対象となった。また、法定開示や適時開示のみならず、IR目的の自主的開示資料も多くの企業によって取り組まれるようになり、中期経営計画やCSR報告書(既に1000社を超える企業が作成)が発表されるようになった。

開示の内容面のグローバル対応

 このように開示書類の数が揃ってきたことで、その中身の充実と海外の機関投資家からの開示情報へのアクセスを容易にすることが次の課題となった。

 中身については、日本会計基準はIFRSへのコンバージェンスを進め、毎年のように変更が行われている。IFRSを適用する企業も2013年からは多くなると言われている。この海外の企業との比較可能性を重視する傾向は、財務情報だけでなく非財務情報にも及んでいる。海外の機関投資家が重視することを意識してか、東証のコーポレート・ガバナンス報告書では独立取締役の比率を求めやすい開示がなされており、中期経営計画では目標とする経営指標としてROEを発表するところも多い。

 経済産業省等では非財務情報を比較できるよう定量的に表す手法であるKPIの開発にここ数年取り組んでいる。また国際的には統合レポート(※1)が注目されており、国境を越え企業を同じ視点で評価できるよう、フレームワークの開発が行われている。統合レポートを推進する国際的な団体IIRCから、今年その草案が発表される予定だ。

 

共通インフラXBRLの登場

 同時にこの間、データを共有するシステムインフラの議論も行われ、その一部が実現している。企業が提出する際、特定のフォーマットで開示情報を作成することにより、直接分析に取り込める技術としてXBRLが生まれた。

 日本では、XBRLは金融庁、東証ともに2008年にそれぞれのディスクロージャーシステムEDINET、TDnetで適用された。日本企業への海外からの投資を促進することが大きなテーマとなってきた背景から、XBRLではシステム的に英語に変換でき、海外のソフトウエアでもスムーズにデータとして取り組むことができる点が注目された。

 近年、世界各国でもXBRLの導入が進んでおり、特に新興市場と言われる国において、IFRSとXBRLを「海外の機関投資家の注目を集めるため」という強い目的意識によって導入するケースが目立つ。

1) 企業が投資家に向けて作成するレポートの一つ。財務、経営戦略、ガバナンスなど統合的に報告をするもの。

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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Writer’s Profile

三井千絵

三井千絵Chie Mitsui

金融デジタル企画一部
上級研究員
専門:企業開示

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