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金融規制はデ・レギュレーションからリ・レギュレーションへ

2013年2月号

金融ITイノベーション研究部 川橋仁美

 金融業界では、金融危機を境に、それまでのデ・レギュレーション推進から、リ・レギュレーションへと大きな方向転換が行われた。

 米国のサブプライム・ローン問題に端を発した金融市場の混乱は、2008年9月のリーマン・ブラザーズの破綻後、グローバルな金融危機へと発展した。サブプライム・ローン問題の深刻化とその後の金融危機を受け、金融安定化理事会(※1)は、「市場と制度の強化に関する報告書」(2008年4月公表)、「金融システムのための提言及び基本原則」(2009年4月公表)という二つの報告書を公表した。図表1の通り、金融安定化理事会の提言は、個別金融機関のみならず、金融システム全体を対象としていること、会計や信用格付けなど関連する制度を対象としていること、規制裁定の可能性を排除するために銀行のみならず、証券、保険など広くノンバンクを対象としていることなど、包括的な内容となっている。 

 これらの報告書は、サブプライム・ローン問題とその後の金融危機時に露呈した金融システム及び金融機関のリスク管理体制の脆弱性を克服し、強靱な体制を築くことを目的としたものであり、金融危機後の国際的な金融規制改革―リ・レギュレーションの出発点となっている。図表2にバーゼル銀行監督委員会が公表したリスク管理関連の指針・提案を整理した。例えば、自己資本比率規制であるが、金融危機以降、大幅な改定が2回実施されている(※2)。改定のポイントは、1)所要自己資本算出の精緻化、2)コア・ティア1資本の定義の明確化、3)資本バッファーの導入、4)システム上重要な金融機関に対する自己資本比率の上乗せである。こうした自己資本比率規制の強化は、内外金融機関のビジネス・モデルに大きな影響を与えている。

 金融安定化理事会は、こうした国際的な金融規制改革の実施状況をモニタリングし、G20に進捗報告を行う役割を担っている。2012年11月には、システム上重要な金融機関の政策枠組み、リスク開示強化、店頭デリバティブ市場改革(含む、中央清算)、格付会社の格付け依存抑制に関する報告が行われた。2013年には、シャドー・バンキングの規制・監視の強化が本格化するだろう。

 

1) 金融安定化理事会は、各国金融当局と国際機関を国際的なレベルで調整すること、規制、監督及びその他の金融政策の策定と実施を推進するために2009年に設置された。その前身は、金融安定化フォーラムである。
2) 「バーゼルⅡの枠組みの強化に関する最終文書(通称、バーゼル2.5)」(2009年7月公表。本邦では2012年3月末実施)、「バーゼルⅢテキスト」(2010年12月公表。本邦では国際基準行を対象に2013年3月末に実施予定。)

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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Writer’s Profile

川橋仁美Hitomi Kawahashi

金融イノベーション研究部
上級研究員
専門:内外金融機関経営、ALM、リスク管理

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