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国債取引の決済リスク低減 -RTGS化から清算機関の利用拡大へ-

2013年2月号

金融ITイノベーション研究部 片山謙

 国債取引の決済リスクを低減し、効率を高めるための取り組みが段階的に進みつつある。国債ではかつて、一日数回、複数の相対取引をまとめて決済するという時点ネット決済が行われていた。しかし、時点ネット決済では、もし一部取引に決済不履行(デフォルト)や予定通り受け渡せない状態(フェイル)が発生すると他の市場参加者に連鎖的に波及するリスクが高かった。そこで日銀は2001年にRTGS(即時グロス決済)に移行し決済リスクを削減したが、一方、RTGSでは一件ごとの決済履行に当たって証券や資金を確保する必要があるため、市場参加者の負担が高まり、何らかの対応策が求められた。

 そのため2003年に設立されたのが日本国債清算機関(以下、JGBCC)である。清算機関は、取引当事者の間に入って債務を引き受け履行保証することで決済リスクを低減しつつ、決済日・銘柄毎にネッティングを行うことで決済効率を高める役割を担う。JGBCCを利用した決済は2005年の業務開始後わずか3年で日銀DVP決済の50%弱を占めるまでに拡大した。しかし2007年以降は利用率が横ばいに留まっている(図表1)。その大きな理由は大手信託銀行が参加していないことである。

 その背景には、信託口座ではネッティングによる決済効率の向上があまり期待されないことがあった。しかし、2008年のリーマン証券の破綻処理を通して、清算機関による破綻処理の利便性やカウンターパーティ・リスク管理機能の評価が高まった。リーマン証券が約定済み国債取引約7兆円の決済をデフォルトした際には市場全体で多額のフェイルが連鎖した(図表2)。JGBCC未参加の取引先ではポジションの再構築やフェイル解消に相当の労力と期間を要したところも少なくなかった。他方、JGBCCでもフェイルの連鎖が発生したが、ポジション再構築に伴う損失をリーマン証券から予め受け入れた担保でカバーするなどリスク管理機能を発揮した。

 そこで、将来の危機に備えJGBCCの態勢を充実させると共に、2014年度をめどに大手信託銀行がJGBCCに参加できるよう、数多くの口座を管理するという信託銀行の特性に配慮した制度対応が進められつつある。金融危機以降は国債レポ取引など有担保取引の重要性が高まっており、JGBCC参加率向上は、国債の決済期間短縮と併せ、国債の決済リスク低減に貢献するものと期待される。

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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片山謙

片山謙Ken Katayama

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