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本格化に向け転換期を迎える 企業のスマートデバイス活用

2013年2月号

イノベーション開発部 藤吉栄二

 スマートフォン、タブレット端末に代表されるスマートデバイスが生活者に急速に浸透するなか、企業における導入も急拡大している。野村総合研究所が実施したアンケート(※1)では、スマートフォンを業務端末として導入していると回答した企業の割合が28%、タブレット端末の場合は25%に達し、2011年実施したアンケート結果の倍以上となった。また、生活者向けにスマートデバイス専用のサービスを提供する企業も増加しており、「提供中」の回答は12%に達している。

 一方、端末の利用内容は限定的である。スマートデバイスを業務端末として利用する場合はメール、カレンダーの閲覧や商品情報の確認などに留まり(図表)、生活者向けスマートデバイス専用サービスで提供される情報は、商品情報や企業情報の紹介にとどまっていた。この傾向は、金融機関においても同様である。利用内容が限定的になってしまう背景には、新しい技術の活用に対する企業の迷いやセキュリティへの不安があるからだ。

 スマートデバイスには、タッチパネルやGPS(※2)、加速度センサー、NFC(※3)などさまざまなセンサーが搭載される。また、企業がこれらセンサーを用いたアプリケーションを開発することも容易になった。この結果、企業は「触る」「なぞる」といった自然な操作で利用できるサービスを提供できるだけでなく、居場所や関心をもった商品と連動した金融サービスを紹介できるなど、利用者の日々の行動に密着できるようになる。また、スマートデバイスでの利用が急拡大するソーシャルメディアや通販など、他社サービスと連携させ、サービスの付加価値を高めることもできる。

 たとえば、イタリアのFINZA&FUTURO銀行は、わかりやすい画面表示とタッチ操作でライフプランを作成できる金融アドバイザー向けiPadアプリケーションを導入した。アドバイザーは、顧客の資産状況や生活の課題に合わせたライフプランのシミュレーションを行って顧客に紹介したり、次に訪問する顧客の資産ポートフォリオを簡単な操作で確認できる。また、マイクロソフトやシティバンクが出資するBuldle社の場合、利用者のレストランや店舗でのクレジットカードの支払い履歴を分析して格付けを行い、GPSで検知した位置情報をもとに近隣のお薦め店舗を紹介するサービスを提供している。同社はクレジットと銀行サービス(※4)を提供するキャピタルワンに買収されている。今後、キャピタルワンの顧客は、クレジット決済履歴や口座取引情報などに紐づいた、より精緻なお薦め情報を利用できるようになるだろう。

 近年、国内の金融機関でも顧客サービスの強化に関心が集まっており、今後スマートデバイスサービスの更なる活用が加速すると期待される。

1) 「企業情報システムとITキーワードに関する調査」。2012年9月実施。有効回答1040名。
2) 全地球測位システムの略。
3) Near Field Communicationの略。
4) 2012年2月に米ING銀行を買収。

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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Writer’s Profile

藤吉栄二

藤吉栄二Eiji Fujiyoshi

IT基盤イノベーション本部 ビジネスIT推進部
上級研究員
専門:モバイル技術、サービス

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