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電子マネーの普及とモバイル活用展開

2013年2月号

金融ソリューション事業二部

 ICカード型電子マネーは、2001年にEdyが登場し、2004年にSuicaショッピングサービスが開始されて以降、徐々に普及。2007年にnanacoとWAONが登場すると普及は加速し、2012年の決済総額は約2兆4千億円に上った。

 実はICカード型電子マネーは、1990年代にも話題になった。MONDEX, Visaキャッシュといった国際決済ブランドのICカード型電子マネーをはじめ、大宮で実証実験した郵貯電子マネー、主要銀行が参加したスーパーキャッシュなど、多くの実証実験や実用化が進められたが普及には至らなかった。今回の普及要因はどこにあるのか。

 第1に、1990年代のICカード型電子マネーが接触型ICカードであったのに対し、現在普及する電子マネーは非接触ICカードであり、その利便性の差は大きい。

 第2にIC乗車券によって「かざして使う習慣」が普及。ユーザーが非接触に慣れ、加盟店の端末導入も進んだ。

 第3に携帯電話に非接触ICが搭載され、通信機能との融合によりチャージや利用が容易になった。

 しかし何より大きな要因は、金融機関ではなく流通企業が自ら発行者となり、消費者にポイントなどの特典を提供した点であろう。nanacoとWAONの決済件数の伸びには目を見張るものがある。SuicaもSuicaポイントクラブに注力するほか、Edyも成功事例として地方スーパーの販売促進機能との提携を挙げている。キャンペーン時の利用件数の伸びを見ても、電子マネーが特典によって普及拡大したことは明白である。

 電子マネーは、ユーザーが決済サービスに単にお金を払うという単機能に留まらず、特典などのベネフィットを求めていることを端的に表している。ベネフィット提供には、原資となる加盟店手数料提供者であり直接的な特典提供者でもある加盟店の売上拡大に寄与する必要があり、マーケティングサービスの提供が重要となる。

 急速に普及するスマートフォンは、GPSで店舗周辺のユーザーにクーポンを配信して来店を促したり、SNSでギフト券を送って店頭に誘導したり、購入履歴に応じて店頭でリコメンド情報を配信したりなど、加盟店の売上拡大に寄与する多彩なサービスと決済の融合を実現する。他方、現在はインターネット上に限られているサーバ型電子マネーのリアル店舗進出も実現する。

 今後はスマートフォンを活用し、バーチャルとリアルを融合したマーケティングサービスの加盟店提供とユーザーへのベネフィット提供がさらなる普及の鍵となろう。

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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