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NRIレポーティングセミナー報告

2012年10月号

金融ITイノベーション研究部 福井豊

野村総合研究所(NRI)は、2012年7月24日、25日、8月9日の3回にわたって、「レポーティングセミナー―次世代EDINETへの取り組みとT-STARの対応―」と題するセミナーを開催した。

 6月25日に金融庁から公表された「次世代EDINETタクソノミ(案)」(以下、次世代EDINETパブリックコメント)を受け、投信委託会社における次世代EDINETへの対応が本格化した。当セミナーは本格対応に向け、お客様を支援することを目的としたものである。当日は冒頭、資産運用ソリューション企画部長小林睦夫(7月24日、25日)、金融ITイノベーション事業本部副本部長小粥泰樹(8月9日)が、金融庁の次世代EDINET構築に関わるプロジェクト(※1)への参画、XBRLを活用した情報開示サービスe-AURORA XIRCLE(※2)の開始などNRIのXBRLに関わる最近の取り組みを紹介した。その後、2つのセッションでファンドディスクロージャー業務にフォーカスした講演を行った。セッション1「次世代EDINETパブリックコメント解説」では、本制度改正の概要、及び制度改正がディスクロージャー業務に与える影響について解説した。セッション2の「次世代EDINETへのT-STARの取り組み」では、本制度が業務へ与える影響、及び新しいT-STARのサービスプラン「T-STAR/Report Assist EDINET」の紹介を行った。
 3日間で合計62社141名の参加をいただき、関心の高さがうかがえた。
 以下、当日の講演について報告する。

次世代EDINETパブリックコメント解説

資産運用ソリューション企画部 データアナリスト 三井 千絵

 現在、投信委託会社ではEDINET提出用にHTMLとXBRL形式(財務諸表本表部分のみ)のファイルを作成している。今回の制度改正では、XBRL化の範囲を報告書全体へと拡大、ブラウザでの表示も、データとしての利用可能なインラインXBRL(※3)という新しいファイル形式に変更される。この制度改正について、本年6月25日から7月24日まで、金融庁からパブリックコメントが募集された。

 このパブリックコメントの中で重要なポイントを、次の3つの視点から解説した。

①次世代EDINETにおける内容的な変更点

 XBRL化の対象である財務諸表部分のみしかデータとして活用できない、EDINET側で表示変換するため提出者側でレイアウトを指定できない、などの現行EDINETにおける課題を解決するために、次世代EDINETでは、XBRLの対象範囲を報告書全体へ拡大、XBRL化の対象書類を追加、インラインXBRLが採用される。また、監査報告書もXBRL化の対象となる。

②次世代EDINETで採用される新しい仕様

 セグメント情報などの表形式で説明される情報を記載するディメンションという仕様が採用される。また、新しいタクソノミには、様式の目次を記載する様式ツリー(※4)と、各目次の内容全体をタグ付けする包括タグが導入される。これらの情報をシステムに正しく伝えるためにマニフェストファイル(※5)、DEI(※6)など、新しい仕様が追加される。

③次世代EDINETでの運用上の変更点

 訂正報告書の提出方法の変更、提出時のバリデーションチェックの厳格化、及びタクソノミ改定のタイミングが変わる可能性などの変更点及び注意点を挙げた。
 従来XBRLは利用者側の合理化が中心であったが、次世代EDINETでは、提出者側のディスクローズ業務の合理化・自動化のきっかけになるのでないかと期待を寄せた。世界的にもレポートの電子化への要求が高くなっているので、一時的ではない将来を見据えた対応が必要であると述べた。

次世代EDINETへのT-STARの取り組み

資産運用ソリューション企画部 上級システムコンサルタント 河口 千代孝
NRIプロセスイノベーション ディスクロージャーサービス部GM 星野 浩志

 はじめに、前半のセッションを踏まえ、投信ディスクロージャー業務の視点で影響点を4つのポイントに絞って説明した。

①財務諸表部分の変更点

 財務諸表部分はXBRL形式から、書式情報を有するインラインXBRL形式へ変更となるため、従来EDINET側で作成していた(青白の)レイアウトも含めて、投信委託会社(提出者側)が作成する必要がある。

②作成ファイルの追加とバリデーションの厳格化

 提出書類の形式がhtmlからインラインXBRLに変更されるのに加えて、マニフェストファイル、DEIなど新たに作成するファイルが追加される。併せてEDINET提出時のバリデーションが厳しくなる。

③訂正届出書の提出方法の変更

 訂正届出書は、現行と同じ変更前後でのhtmlファイルに加え、訂正を反映した届出書全文のインラインXBRLファイルの提出が必要となる。

④大量保有報告書のXBRL化

 次世代EDINETでは大量保有報告書もXBRLの対象になるため、投信委託会社で作成している場合は留意が必要である。

 併せて次世代EDINET制度改正に対応したソリューションであるT-STAR/ReportAssist EDINETについて、現在のT-STAR/TX有報サービスのバージョンアップの説明も交え、デモンストレーションを行った。

 最後に、T-STAR/ReportAssist EDINETを共同で検討しているNRIプロセスイノベーションが、実際に行っているEDINET関連文書作成の事例を紹介した。

セミナーへの評価と今後の取組

 セミナーに関するアンケートには128名の方々から回答をいただいた。セッション1は、「大変参考になった:27%、参考になった:70%」、セッション2は、「大変興味を持った:26%、興味を持った:72%」という結果であった。パブリックコメント公表後すぐに開催したセミナーであったこともあり、好意的な意見を多くいただいた。

 次世代EDINETの稼働開始は2013年度下期(正式な時期は未定)とまだ時間があるが、2012年11月から来年5月まで金融庁との間で提出者向け事前チェックテスト(※7)が開始され、2013年5月からは総合運転試験(※8)が開始される予定である。NRIでは、セミナーで頂戴したご意見を活かし、これらのタイミングに向け、適切な情報提供、及びサービス提供を行い、投信委託会社の制度改正への対応を支援していく考えでいる。

 本年11月に開催する資産運用フォーラム2012においては、パブリックコメントを踏まえて10月に公表予定の第二次タクソノミ案の解説、T-STAR/ReportAssist EDINETのより詳細なサービス説明、及び提出者向け事前チェックテストについて説明を行う予定である。

 NRIはこのようなセミナーを今後も継続的に開催し、お客様の課題解決に努めてまいります。

1)「 XBRLの対象範囲拡大等に係る開示項目の選定に関する業務」、及び「有価証券報告書等に関する電子開示システム(EDINET)に係る次世代システム開発のためのプロジェクトマネジメントオフィス(PJMO)支援等業務」
2) e-AURORA XIRCLE:機関投資家・アナリストと企業の部門IR部門をつなぐ情報開示サービス。ソーシャルネットワークサービス(SNS)を通して利用者が相互にコミュニケーションできる。
3) インラインXBRL:XHTMLに、XBRLのタグを挿入した書式で、WEBブラウザでも表示でき、また従来のXBRLデータをシステムへ提供するインスタンスファイルへも変換できる。
4) 様式ツリー:有価証券報告書等の提出書類の全体構造を表す目次項目の一覧、財務諸表などは詳細ツリーを用いて目次よりも小さい単位で詳細タグ付けする必要がある。
5) マニフェストファイル:提出書類のファイル構成を記載する。シリーズファンドにおける複数の財務諸表を表示するための情報などを含む。
6) DEI:「Document and Entity Information」の略。提出書類の基本情報(Document Information)と開示書類等提出者の基本情報(EntityInformation)をあらわす。
7) 提出者向け事前チェックテスト:任意のテスト参加者が次世代EDINETのタクソノミ(案)を用いて報告書を作成し、新しいタクソノミ(案)でのファイル作成を検証する。
8) 総合運転試験:開示書類等の提出者及び利用者が参加し、次世代EDINETの機能を検証する。

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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Writer’s Profile

福井豊

福井豊Yutaka Fukui

金融デジタル企画二部
主任研究員
専門:投信に関する調査・企画

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