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NRI資産運用フォーラム2011報告

2012年2月号

資産運用ソリューション企画部 山本由香理

 2011年11月29日、野村総合研究所(NRI)は「NRI資産運用フォーラム2011」を開催した。
 当フォーラムは、昨年まで開催していた「資産運用ビジネスセミナー」と「商品企画説明会」を統合したもので、資産運用業界の動向を踏まえながら、お客様のニーズを実現するための様々なソリューションを紹介することを目的としたものである。
 大ホールと小ホール4カ所の計5箇所で講演を行い、88社227名の方々にご参加いただいた。
 以下で、当日の講演について報告したい。

大ホール 講演1 資産運用統合型クラウド~T-MONOLIX

資産運用サービス事業一部 兼松 敏

 T-MONOLIXは、本年度よりサービスが開始された資産運用ビジネス向けの統合的なクラウドフレームワークである。本セッションでは、T-MONOLIXの特徴と今後の展開について説明を行った。
 まず最初に、一般的なクラウド・サービスの定義と実例を紹介した。①必要な時に、②ネットワークを通じてどこからでも、③共同利用型の資源にアクセスし、④拡張しやすい形で、⑤従量料金制で利用できる、というようなサービスを「クラウド」と呼ぶ。ネットワークやサーバーやディスク装置等だけを提供するコンピューター基盤サービスや、メールサービスや、動画配信、カレンダー情報などの機能を組み合わせた情報連携(コミュニケーション)環境提供等がある。
 これに対して、資産運用ビジネスに必要な要件として、高い安全性・耐障害性や災害対策、サービス間の連携やユーザー間のインターフェース、資産運用に特化した専用機能とデータベースが挙げられる。
 T-MONOLIXはこれらの要件を満たしたサービスである。堅牢なセンター運営基盤、冗長性をもったネットワーク、各種サービスに一度でアクセスできるポータルサイト、EUCのセンター管理機能、マーケットデータの集中管理機能などを備えており、2011年から2012年にかけて、各種の機能追加・基盤更改が行われることが紹介された。

大ホール 講演2 日本の資産運用ビジネスの現状と成長戦略

金融ITイノベーション研究部 堀江 貞之

 まず、日本の資産運用ビジネスの概況と運用会社の収益状況の説明があった。2011年3月末現在、日本の資産運用市場の総額は約1,620兆円で、そのうち運用委託されているのは約2割である。資産運用会社(除く信託・生保)では10年度、顧客からの資金純流出入はプラスとなったが、実質的にそのほとんどは公募投信で占められる。営業利益率は18%とやや改善した。コストの中で人件費と委託計算費・印刷費の比率減少が貢献しているが、一方でサブアドバイザリー・フィーを含む委託調査費の割合は若干の増加となっている。
 野村総合研究所が2011年夏に実施した運用会社へのアンケート調査によると、運用資産額の増減見通しは前年よりやや好転し10%以上の増加と見る会社が増えた。国内系・外資系別に見ると、外資系は強気見通しを継続しており、特に投信やサブアドバイザリーで顕著である。資産クラス別ではエマージング運用の増加を見込む会社が全体として多いが、総じてどの商品でも外資系の方が強気である。人件費管理についてもアンケートで聞いているが、部門別の採用見通しでは、外資系の方が増減を行う部門が明確で、メリハリが効いている。国内系は全体的にどの部門も減らすという回答が多い。
 次に、顧客別の市場動向と成長戦略について説明した。リテールでは、今後5年間、退職金や保険などからの振り替え資金が年1 3~1 8兆円見込まれ、その3割程度が株式投信などリスク商品に向かうと見られる。投信では、インカムを重視するファンドが、投資内容は変わりつつも主流を続け、現在は毎月分配型がその多くを占める。毎月分配型の分配金利回りは10%超と高く、元本も取り崩して分配している。高齢化社会では、元本を取崩しつつ定期的な支払を行うこと自体は悪いことではない。海外でも前向きに評価されている。ただし顧客説明が十分に行われることが大前提である。日本の投信市場は「高齢化」「低金利」という世界のトレンドを先取りして商品開発を行ってきた。アジアでも日本と類似の投信に人気が集まりつつある。こうした経験をもっと海外でも活かしていけるのではないか。
 年金市場では、公的年金・確定給付型企業年金とも、給付の増加により年金資産は減少に向かう。企業年金の積立状況は依然として厳しく、厚労省の健全化計画強化など規制が大きな影響を及ぼす可能性がある。運用面をみると、企業年金でオルタナティブ投資が増加傾向にある。その位置づけも、国内債券の代替から、単独の資産クラスとしての投資が増えている。従来型資産の運用では、国内株式運用の再考が必要であろう。伝統的なアクティブ運用では成果があがっていない。より長期に企業業績に焦点を当てる運用などにより、日本株運用にもビジネス機会があると考えられる。
 最後は金融機関である。有価証券の中の「その他の証券」が10年度末に大幅に増加したが、そのほとんどが外国証券(主に外債)となっている。銀行によっては人的リソースの制約から外債等の外部委託ニーズもある。金融機関への対応を考え直す時期ではないか。

大ホール 講演3 投信販売の現状と課題

金融ITイノベーション研究部 金子 久

 最初に、投信ビジネスの現状として、2011年度上期について説明を行った。11年9月末株式投信の残高は、円高、株価下落により3月末比7兆円減少した。販売額は若干増加したが、依然証券会社のシェアが2/3を占める。残高シェアでは銀行が50%を超えた。投信市場では新規資金の導入がここ数年次第に減少している。投信の広義の資金流出入(販売額-解約償還-分配)をみると、証券会社ではプラスとなってはいるものの、分配が増えていることからその額は減少している。銀行では若干のマイナスが続いている。
 投信市場には98年~07年の10年間、毎年資金が流入し続け、その累計は44兆円にもなった。この間、60歳以上の人口は3割以上増加し、この高齢者人口の増加が投信への継続的な資金流入に大きく寄与したと考えられる。ところが、この高齢者人口の増加は長続きしそうもない。投信の主要顧客層を60~79歳(あるいは60~84歳)とすると、今後ほとんど増加せず、2015年頃にピークを迎える。人口動態的には、投信市場への資金流入は以前ほど期待できないことになる。
 ではこの中で今後の投信販売を増やして行くにはどうすればよいのか。ここで4つの視点が提示された。
 1つ目は人口動態の地域差に注目することである。団塊世代の退職が終わり、全国的には退職者は減少していく。しかし東北や九州ではこの傾向が遅れており、今後5年ほどは地方公務員を中心に退職年齢の人はむしろ増える。これら退職者向けに毎年キャンペーンを打つなどの退職金囲い込みに向けた施策が必要となる。
 2つ目は、退職世代の中で投信保有者の割合を増やすことである。これには投資の入り口金融機関として地銀・第二地銀やゆうちょ銀行が重要となる。しかし多くの銀行では退職直前世代へのアプローチが遅く、退職の1年前ぐらいからである。2年以上前に働きかけを行い、証券セミナーなどの有望顧客をチェックする仕組みを設ける必要があろう。
 3つ目は、投信保有者の保有額を増やすことである。一般的に投資経験を積むと運用資金が増えるが、さらに増えていくと資産を2つに分割、一つは高リスク・高収益を、もう一つは安全性を求めるようになる。現在、前者には通貨選択型投信などの品揃えがあるが、安全性の高い低リスク商品はあまり多くない。低リスク商品へのニーズは決して低くない。今後の多様な商品開発による、幅広い資金の吸収が期待される。
 最後は現役世代の取り込みである。現役世代も投信保有者比率が近年上昇しているが、まだまだ低く、逆に言えばポテンシャルが高い層である。仕事を持つ現役世代はネット販売への関心が高い。現在投信のネット販売で先行するのは地銀で、11年度末には50行近くがネット販売を実施する見込みである。ネット販売では販売手数料の割引が行われることが多く、手数料の低さが一つの魅力となっている。顧客にとって納得性の高い手数料体系を作ることも販促上の鍵となろう。

大ホール 講演4 アジア機関投資家ビジネスの現状と課題

金融ITイノベーション研究部 堀江 貞之

 アジアの機関投資家の中心はソブリンウェルスファンド(SWF)と国民年金である。規模の大きな政府系機関であり、数も少ないため運用会社からすれば効率的なマーケティングが可能である。外国の運用会社の多くがアジアでまず機関投資家ビジネスから始めるのには、こうした背景がある。
 これらの機関投資家にはいくつかの特徴がある。まず規模は大きいが外部委託比率は意外に低い。これには、特に年金で国内資産の保有が多いことも関係している。国内資産を委託できる運用会社がまだ少ないためである。また政府の関与が強く、明確な運用目標が設定されずに時価ベースのパフォーマンス評価も行われていない機関もあるなど、ガバナンスに課題をもつケースが多い。運用会社選定には過去の運用成績が重視される一方、運用スタッフは専門性が高いため高度なコミュニケーションが必要である。したがって、機関投資家マーケティングでは現地人スタッフの充実が欠かせない。「日本から出張ベースでやればよい」という考え方は通用しないと考えられる。
 アジアは欧米の運用会社にとっても重要な戦略地域である。90年代半ば以降から大手運用会社が営業拠点を構え始め、現在は極めて競争が激しい地域となっている。長い歴史をもつ英国等の運用会社は、拠点CEOに現地人の生え抜きや、10年以上もアジアに居住する外国人を充てるなど、現地化を心がけている。アジアビジネスを成功させるには、いわゆる「グローカル」が不可欠なのである。
 では、日本の運用会社が成功を収めるにはどうすればよいか。現時点では日系運用会社は日本の投信向けの運用や親会社の運用助言などの役割に留まっている場合が多い。アジアでの運用会社選定プロセスに耐えられる体制を持つところは少ない。運用面では、日本株運用とアジア株運用では市場の成長ステージが異なるため、必要となるスキルセットは違うものと考えるべきだろう。日本では「投資家の期待予想重視」の運用が中心だが、経済成長の高いアジアでは「利益成長の予想を重視」した運用が求められるからである。したがって、アジア拠点独自の運用力強化が第一優先となろう。その方策としては、現地で運用チームを立ち上げ日本から人的支援を含む様々なサポートを行う、あるいは現地でプレゼンスの高い運用会社を買収する、などが考えられる。
 アジアにはまだ運用成績で突出した運用会社は多くない。また運用組織も大規模なものは必要ない。残された時間は多くないものの、日本の運用会社にもまだチャンスはある。

会場A 講演1 T-MONOLIXポータルのご紹介

金融・資産運用サービス統括部 松本 真弥

 NRIの資産運用クラウドT-MONOLIX上のサービスすべてを繋ぐ、ポータルサイトについて説明した。
 T-MONOLIXポータルの効果は大きく2つある。 1つは、ポータルという情報共有プラットフォームの構築により、必要な情報の一元的な取得が可能となることである。従来サービスごとに提供されていたサポートサイトが統合されて、ポータル上でユーザーごとに必要な情報を一度に取得できるようになる。
 もう1つは、T-MONOLIX上の各サービスのID・認証機能が統合され、ポータルへのログインのみで、各サービスへのアクセス(シングルサインオン)ができるようになることである。この機能により複数サービスを利用する際の利便性の向上、パスワードポリシーの一元管理によるIT統制の強化を実現する。

会場A 講演2 GX on T-MONOLIXのご紹介

資産運用ソリューション企画部 丹羽 陽子

 T-STAR/GX、GX lightサーバーをNRIデータセンターで管理・運用するホスティングサービス、GX on T-MONOLIXについて説明した。
 本サービスの利用によりDR(※1)を備えたデータセンターにてサーバーを管理することとなり、事業継続計画(BCP)の実効性を高めることができる。堅牢なデータセンターでのシステム運用は、IT統制の強化にも繋がる。また、機器の保有から解放されることでIT資産の管理及び、システム運用の負担軽減が可能である。
 更にクラウド環境の利用により、柔軟なリソースコントロールが可能となり、ハード障害発生時にも、システム復旧の所要時間の大幅短縮を実現する。
 今後は資産運用業務に関係する周辺サーバーのホスティングサービス化、並びに業務スリム化を同時に推進していく計画である。

会場A 講演3 投資情報サービス、e-AURORA Beacon

投資情報サービス事業部 松井 環江

 国内株式・債券情報を中心に、国内外の金融指標や外国為替、投資信託などのマーケット情報を提供するサービスe-AURORA Beaconについて説明した。
 e-AURORA Beaconは多機能で簡易な操作性を特長とする情報端末サービスである。豊富なデータの中から個社ごとに必要なデータを、個別業務に合わせた形態にて提供、運用する。従来の社内業務において重複していたデータや情報端末を集約し、業務連携による業務効率化、コストダウンを実現する。また個社EUCで用いるデータソースを統合し、データのメンテナンスを専門スタッフに委ねることでEUC運用の効率化を図ることができるため、単なる情報リソースの増加に留まらない、総合的な業務の効率化を実現できる。

会場A 講演4 T-STAR外国証券属性管理サービス

資産運用ソリューション企画部 馬場 崇充

 昨今のファンドへの組入商品の多様化・多国籍化に伴い、各システムへの外国証券の属性入力・メンテナンス作業は負荷が大きくなっている。その銘柄属性の入力負荷を大幅に軽減するサービスとして、外国証券属性管理サービスを紹介した。
 本サービスでは、T-STAR/TX、RXの各ソリューションの外国証券の銘柄属性入力を一元管理し、情報ベンダーとのデータ自動接続を実現する。また同時に銘柄属性管理のワークフローのサポート機能を備え、銘柄属性の品質向上、手入力によるオペレーションリスクを低減する。今後は国内証券を含めた銘柄属性、コーポレートアクション、時価等の統合的な属性情報管理を行うサービスまで拡大検討していく方針である。

会場B 講演1 SmartBridge Advance新機能・事例紹介

資産運用サービス事業二部 梶本 秀之助

 フロントとバックを結ぶプラットフォームサービスSmartBridge Advanceについて説明した。
 SmartBridge Advanceではファンドマネージャーへのフロントポジション資金管理、機関投資家のオーダーマネジメントサービス(OMS)およびバックオフィスシステムとの自動接続機能により、資産運用フロント業務の完全STP化を可能とする。当日初のポジションから、案件ベース・トレードベース・約定ベースなど複数ベースでのポジション・資金残高を計算・参照可能とする。特にOMSについては、内外株式債券を始めとした各種商品に対応し、事後コンプラ、海外ネットワークやリアルタイム時価接続などの各種機能を取り揃えて、高い業務適合性を実現している。

会場B 講演2 レポートデリバリーを改革する新ネットワーク

資産運用ソリューション企画部 蒲谷 俊介

  「販売会社、運用会社、印刷会社間をシームレスに繋ぐことで、負荷の高いディスクロージャー業務の課題を解決する」ディスクロネットワークサービス企画について説明した。 本ネットワーク上では、レポート作成のスケジュール管理、承認管理を含めたワークフロー管理、社内外を含めたデータ連係・情報連携などの機能が提供される。それらの機能により、ディスクロージャー業務が、属人的なものから、安全かつ効率的に管理された業務になる。ディスクロネットワークとして稼働するのは、Fundweb/Library、ReportAssistネットワークなどである。前者は、販売会社と運用会社間を繋ぎ、電子レポートの授受や部数ヒアリングなどをサポートする。後者は、運用会社と印刷会社間を繋ぎ、スケジュール作成、レポート校正データ連携、承認管理などをサポートする。またこのネットワークは、T-MONOLIX上の各システムと連携される。
 今後は、販売会社から印刷会社まで、部数リストや電子レポートを一気通貫し連携するサービスなども視野に入れ、検討を行っていく。

会場B 講演3 Fundweb Transferによる休日情報の管理

投資情報サービス事業部 湯沢 功

 海外市場の休場などによるファンド休日(購入・換金の受付不可日)情報の管理・調査には、高い業務負荷がかかる。その負荷を軽減するサービスとして、NRIの海外市場の休日情報収集、申込不可日情報の作成代行サービスを紹介した。  これらのデータは、Fundweb Transfer上での管理が可能であり、Fundweb Transfer登録済の取扱情報に基づいて、システム的に販売会社へ休日情報の一斉配布を行うことができる。そのため、取扱ファンドが異なる販売会社にファンド休日情報を送信してしまうという通知ミスが防げるほか、申込不可日に注文受付を行うようなリスクも低減できる。また、販売会社についても、投資家から受け付けたファンド設定・解約の情報をFundweb Transferを使って投信会社に連絡する際、販売会社側でもっているファンド休日情報を使って、(投信会社に設定・解約情報を送付する前の事前)チェックを行うことができる。

会場B 講演4 フロントオフィス向け情報サービスe-AURORA Xircle

投資情報サービス事業部 三井 千絵

 運用会社と企業I R 部門を結ぶ情報サービス、e-AURORA Xircleを紹介した。
 本サービスにより機関投資家は、各企業の企業価値評価で必要となる、非財務情報を中心とした個別性の高い情報を、分析可能な形で簡便に取得可能となる。企業側も自社プロフィール、過去の開示情報、決算説明会の資料など、プロ向けの開示資料を掲載した上で、多数の投資家へ一度に投資を呼び掛けることが可能となる。更に、一方的な情報取得のみではなくSNSとしての利用、開示資料に対する需要調査の実施、ミーティングシステムの活用などにより、個別企業へのアクセスや、ユーザー同士のコミュニケーションを効率的に行うことができる。

会場C 講演1 NRIのレポーティングサービスの今後の展開

資産運用ソリューション企画部 河口 千代孝

 今後のNRIレポーティングサービス基盤の変革について、ロードマップを説明した。
 NRIでは、これまで投信の交付目論見書、投資顧問レポートのサービス化、ならびに運用報告書、情報連携基盤の企画検討を行ってきた。今後はデータ入出力の一元化、ならびにレポートデータの一元管理、データウェアハウスの構築を行う。これによりレポートデータのメンテナンス業務負荷の低減、T-MONOLIX上の複数システムを横断的に利用したレポートの作成が可能となる。またレイアウティング機能を拡充し、出力フォーマットのバリエーション追加、デザイン性の高い非定形帳票の作成支援を行う。
 NRIはレポーティングサービスの活用によるディスクローズ業務のトータルシステム化ならびに、アウトソースサービス活用により、ディスクローズ業務の業務課題の総合的な解決を目指していく。

会場C 講演2 制度改正に向けたレポーティングサービス

金融ITイノベーション研究部 外園 康智

 2013年から本番運用予定の次世代EDINETへ向けたNRIサービスのプランを紹介した。
 現在次世代EDINET(※2)においては、提出書類への新言語(inlineXBRL)の採用、XBRLの対象範囲の拡大が検討されている。それに伴い発生する技術問題や、バリデーションチェックの厳格化などの課題について、NRIではT-STAR、ReportAssist networkと連携したEDINETレポート作成サービスを提案する。このサービスでは財務諸表やファンドの運用状況などの記述を、T-STARから毎期自動作成し、タグ付けならびにinlineXBRLファイルの効率的な作成を行う。またバリデーションチェック用の事前チェック機能なども備え、EDINET登録までの業務をトータルにサポートしていく

会場C 講演3 顧問業務におけるレポーティングサービス

資産運用ソリューション企画部 我妻 太郎

 顧問業務における顧客レポート作成業務はレポートの個別性が高く、仕様変更に対する即時性が要求されるため、従来EUCによる属人管理を余儀なくされていた。当該業務の大幅な省力化、属人管理を排除した標準化を実現するサービス、「T-STAR/ReportAssist 投資顧問向け」について説明した。本サービスでは帳票定義をコーディングレスで作成できる機能を提供する。NRIがあらかじめ用意する定型帳票の利用等も可能であり、簡易なレポート作成により、迅速に顧客要望への対応ができる。また作成した各種帳票データ・帳票定義、最終レポートのデータの保管を一元的にデータセンターで行うことによって、BCPオフィスからのアクセスの実現などによる災害対策も可能となる。

会場D 講演1 海外運用会社にみるBPO業務範囲の広がり

資産運用ソリューション企画部 金子 泰敏

 欧米運用会社のBPO業務のトレンド分析と、日本における今後の展望予想について説明した。
 欧米運用会社では戦略的なリソースアロケーションのため、業務アウトソースが進んでおり、その対象業務はバックのみならずミドルオフィスにまで広がっている。アウトソース対象業務への運用会社各社自身でのリソース投入の難しさだけでなく、BPOサービサー各社の積極的なシステム投資によるサービス能力の向上が、欧米運用会社のBPOサービサー活用の大きな理由となっている。
 欧米の運用会社とは異なり日本では、投信・投資顧問会社ともに、バックオフィス機能を自社で揃えている場合が多い。故に国内運用会社においては、バックオフィス業務のアウトソースの効果も欧米各社に比して大きく、BPOによる、よりドラスティックなリソースアロケーションの自由度が見込める。

会場D 講演2 グローバルバックオフィスシステムT-STAR/GV

資産運用サービス事業二部 垣地 良憲

 グローバル展開する資産運用会社のあるべき姿として、1つに各国時差や祝日による業務影響を受けず、自由なタイミングで残高の取得ができること、2つ目に拠点に因らないビジネスプロセスが標準化されること、3つ目に複数拠点間情報の集約一元化と業務の共通化がなされることを挙げた。そのあるべき姿の実現を支援するためのポートフォリオ管理基盤として、T-STAR/GVを紹介した。
 T-STAR/GVでは統合されたシングルデータベースを備え、24時間365日の運用によりリアルタイムな情報のやり取りを実現する。また、外部サービスとの高いコネクティビティを確保する機能を備えている。
 安定したグローバル事業の拡大には、ビジネス戦略に合わせたシステム配置構想のみならず、構想を実現するための本国中心のグローバル体制とマネジメントが必要である。NRIではそうした総合的なグローバル戦略の企画、実施について提案を行っていく。

会場D 講演3 グローバル運用会社の会計システムのトレンド変化

資産運用ソリューション企画部 加藤 友明

 グローバル展開を行う運用会社やファンド・アドミニストレーターが、各国拠点でのバックオフィス業務を行う際の、時差や、現地固有の会計システムやレポーティングなどのオペレーションの対応の難しさについて説明した。各国固有の業務に応じて、個別のローカルシステムを導入する場合、拠点拡大にかかるコストの増大、本社との情報タイミングの齟齬などの課題が生まれる。
 こうした課題に向け、NRIでは多国籍でのファンド会計、24時間の基準価額計算、各国レポーティングへの対応を実現するグローバルバックオフィスサービスT-STAR/MX(仮称)を提案していく予定である。海外ベンダーとの協業も視野に入れ、東京発の新しいシングル・システムでの会計システムを構築し、日系各社のグローバル展開の支援を目指していく。

左は加藤。右は、MultifondsのChee-Seng Lok氏( Business Development Manager,Asia)。

会場D 講演4 グローバル運用会社にみるパフォーマンス分析業務のトレンド変化

資産運用ソリューション企画部 金子 泰敏

 欧米運用会社ではここ数年、社内外のステークホルダーへのレポートの頻度の増加、及びそれらの内容・品質に対する要求レベルの上昇に伴うミドル・バックオフィス業務の負担増が顕著である。その対策として、特に債券分析周辺でパフォーマンス分析システムの導入、ならびに関連するデータの管理に関する検討を推進しようとしている。
 こうしたポートフォリオ分析・データ管理の強化に向け、NRIではT-MONOLIX環境上でのポートフォリオ分析業務の高度化と効率性を目指す。
 まずはレポート機能、ポートフォリオ分析に必要なデータの管理機能を整備する。その上で、バックオフィスに比べトレンドの変化スピードが早く、機能追加の柔軟性が求められる傾向にある分析機能について、複数機能が併存できるよう拡張性を確保した構成を目指す。そして最終的に複数の情報ベンダーの分析システムの特徴・長所と、多様化する運用会社の業務要件とのマッチングの実現を目指し、T-MONOLIX上のサービスと、サードパーティーベンダーのソリューションとの接続までを含め検討を行っていく。

BI-SAMの方にも講演いただいた。
上が、Steve Shefras氏(Business Development Manager, North America)。
下が、Christophe Volard氏(COO, North America)。

 当日のフォーラムに関するアンケートには138名の方々が回答に協力して下さった。フォーラム全体については「大変参考になった」が48%、「参考になった」が51%、「あまり参考にならなかった」が1%であった。各講演についても、貴重なご意見をいただいた。これらのご意見を活かし、運用会社の皆様に役立つようなフォーラムを今後も開催していきたい。

1) DR=Disaster Recovery:災害復旧、ここではそれに備えたシステム体制のこと
2) 2011年11月現在開示されている仕様について検討

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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Writer’s Profile

山本由香理

山本由香理Yukari Yamamoto

資産運用サービス事業二部
システムコンサルタント
専門:資産運用ソリューション企画

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