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バンキングセミナー報告 NRIバンキングセミナー2011-おもてなしの心がもたらすサービス価値向上-

2012年1月号

銀行ソリューション事業一部 長岡潤

 野村総合研究所(NRI)は、2011年11月24日に、アクセンチュア株式会社と日本ユニシス株式会社の協賛を得て、銀行業界のお客様向けに「NRIバンキングセミナー」と題するセミナーを開催した。
 本年度は、金融機関の皆さまの関心度が高い「リテール戦略に関連するテーマ」として、「ネットサービスと対面サービスとの融合」という全体キーワードで講演を行った。当日は予定数を上回る70名の方に参加をいただき、盛況の内に終了した。
 本稿では各講演の概要と配布したアンケートの結果から得られた本セミナーへの評価や関心が高かったキーワードについて紹介する。

講演1 現場力強化と社員教育

株式会社ホンダカーズ中央神奈川 会長 相澤 賢二氏

株式会社ホンダカーズ中央神奈川 会長 相澤 賢二氏

 今回のセミナーでは、業種は違うが、2004年度の日本経営品質賞(中小企業部門)を受賞し、全国のホンダカーディーラーの中で13年連続お客様満足度No1を続けて、通常店舗の約2倍の売り上げ台数を誇るホンダカーズ中央神奈川 相澤賢二会長にご登場いただき、サービス業としての「顧客主義」の視点の重要性について紹介をいだだいた。講演内容を一言で言えば、相澤会長が各店舗で地道かつ極めて日本的な社員教育を徹底して実行し、それが結果として顧客満足度と売上の向上に結び付いたというものである。「お客様は先生である」「サラリーは会社からもらうのではなく、お客様からいただくもの」「商談は売ることではなく、相談に乗って聞いてあげること」など、印象に残ったメッセージをあげればきりがない。金融やネットからは離れた内容であったため来場者の感想が気になったが、アンケートを見ると絶賛する声が多く、あらためて金融リテールはサービス業であることを、聴講者全員が再認識することになった。

講演2 「 Product Bundling - 顧客ニーズに合致した金融商品提供力の強化」

アクセンチュア株式会社 パートナー 宮良 浩二氏

 二番目はアクセンチュア社より、プロダクトバンドリングについて講演をいただいた。プロダクトバンドリングとは従来から存在する商品のセット販売に考え方としては近いが、顧客のセグメンテーション分析や離反防止策などを組み合わせ、セットにする商品も非金融商品やポイント等のサービスまで拡大・高度化する点が異なる。講演内容は、アクセンチュア社が得意とするグローバルでの先進事例の紹介、成熟市場となった本邦リテールマーケットでプロダクトバンドリングが今後重要になるとの見通しの説明が続いた。また同マーケティング手法の実践上の課題として、内部プロセスの工夫による適切なコストコントロールの必要性、プロダクトバンドリングに合わせた販売管理系システムの配置見直しの必要性があげられた。今回招待した来場者は営業企画系部署が中心であったため自ずと関心も高く、アンケートでもより具体的な例示を求める声などが目立った。

講演3 流通業におけるCRMへの取り組み-小売・通販業事例を中心に-

日本ユニシス株式会社 流通第二事業部長 齊藤 昇氏

 三番目は日本ユニシス社より、流通業におけるCRMの取り組みについて講演をいただいた。日本ユニシス社は複数の大手企業からECサイトの構築・運営を委託されており、本講演ではCRM(顧客リレーション管理)の先進事例、ネット店舗とリアル店舗の連携、コールセンターでの対応強化などが紹介された。日本ユニシス社は銀行界でのリテールマーケティングが進化する中、他業界、特に流通業の取り組みを参考にするケースが増えてきていると見ており、アンケートでも業界差を意識せず、顧客マネジメント手法や分析手法に関心を示す声が多かった。

講演4 米国ネットバンクの再編・新潮流と日本への示唆

NRIアメリカ 吉永 高士

 最後は、NRIアメリカの吉永が米国におけるネット銀行の生誕と栄枯盛衰の経過について紹介した。高金利を武器にしたインターネット専業銀行の事例、グループ証券会社が預かる滞留資金を狙ったインターネット専業銀行の事例、大手銀行が別ブランドでインターネット専業チャネルを構築した事例を経費率や預貸率の推移とともに分析し、いずれの事業モデルも現時点では岐路に直面しているとの考えを示した。
 アンケートでは先行する米国から学べたという素直なご意見を多くいただいた。また参考になったテーマとして、大半の来場者が「マルチチャネル戦略に組み込まれたネット活用」を取り上げていた。マルチチャネルとネットの関係は、普段、銀行の皆様と意見交換する際にも必ず言及されるキーワードであり、NRIとしても今後一層研究を進め、各種ソリューションに反映していくべき分野と考えている。

最後に

 金融界では業態を問わず、インターネットを介したリテールサービスの提供が急速に発展しつつあり、現在最も注目度が高いチャネルとなっている。一方で大半の金融機関は対面サービス(有人店舗や渉外)を従来の主力チャネルとしており、ネットチャネルをどのように位置づけていくかについて探っている段階と言えよう。本セミナーでは今後ネットサービスが対面サービスとどのような関係を形成し、どのように融合していくかを、他業態の例も踏まえながら多面的に探った。一方でチャネルの種類を問わず、リテールの根底として重要なのは「おもてなしの心」であると考え、基調講演の題材とした。
 NRIとして招待客を銀行に絞り、「バンキング」の名を冠するセミナーを開催するのは今回が初めてであったが、今後も時々のテーマを取り上げて開催していきたい。

ほぼ満席の会場の様子

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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Writer’s Profile

長岡潤Jun Nagaoka

資産運用サービス事業部
上席システムコンサルタント

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