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デトロイトに見る大和魂

2011年3月号

加藤友明

 下記の米国プロバスケット・チーム(NBA)、どちらが強いと思いますか?
 ① オフェンス重視。特に速攻は得意。一方でディフェンスは等なお閑ざりになりがち(代表例:ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
 ② ディフェンスには滅法強く、リバウンドにも強い。但し、地味でみていて面白味に欠ける(代表例:デトロイト・ピストンズ)。
 ここ20年超の結果をみてみると、圧倒的に②の代表例であるデトロイト・ピストンズの方が上回っている。花形選手は少ないが、全員ディフェンスを合言葉に近代NBAでも3度優勝している。
 中身を考察してみよう。簡略化すれば、バスケットの勝敗は(自チーム・オフェンスの回数×シュート率)-(相手チーム・オフェンスの回数×シュート率)によって規定される。自チームのシュート率は試合による振れ幅が大きい事やリバウンドは自チームのオフェンス回数を増やすことから、ディフェンスやリバウンドを固める事が重要となる。特にプレイオフ等プレッシャーがかかる場面では、緊張感でシュート率は下がるため、ディフェンス・チームに有利となりやすい。対して、スーパー・スターのチームは派手で注目を集めるが、プレイオフの大事な場面でスターに 精神的・肉体的にもプレッシャーがかかりすぎ、地味なチームの底力に負ける傾向がある。
 ディフェンス率を高める組織の特徴として、①個々の平均的ディフェンス力の高さ、②ディフェンス・マインドを徹底させるコーチの存在が指摘される。(平均力)×(組織的根性)とも言えるだろう。
 ただ、最近では、ピストンズもデトロイトの自動車産業の停滞と共に下位に沈んでいる。メンバーの高齢化に伴う個々のディフェンス力の低下に加えて、コーチ解任に伴うチームの方向性の欠落により、ディフェンス組織の根幹が揺るがされてしまった。
 ピストンズのモデルは日本のビジネス・モデルと似てはいないか。地味なキャラクターとは裏腹に経済大国の地位を築き、金融危機の傷跡も 少ない。確かに、①個々の平均的な能力は高く(特に品質管理などディフェンス的な分野)、②目標設定がなされると猛進傾向がある。しかし、個々の高齢化や目標の欠如により、ディフェンス文化も綻びをみせ、組織もダッチロールしてしまいがちである。
 デトロイト・ピストンズは大幅なトレードを行い、未来への投資を行うことが噂されている。これはディフェンス力を梃にしたチーム再設計を意図している。(平均力)×(組織的根性)の再現。これは欧米勢と同じにはなれない日本の命題とも言えるのではないか。

(加藤 友明)

※組織名、職名は掲載当時のものです。

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Writer’s Profile

導入事例

加藤友明Tomoaki Kato

金融デジタル企画一部長

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