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資産運用会社の国内株式トレーディングの実態に関する調査を実施~電子取引へのシフトで証券会社との直接対話が減少したが、執行アドバイスへのニーズは高い~

2013年11月05日

株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:嶋本 正、以下「NRI」)は、2013年9月に「資産運用会社における日本・アジア株式トレーディングに関する実態調査」を実施しました。 本調査は、2007年、2009年に続き3回目で、日本国内にトレーディング部門を置く、投資顧問会社、投資信託委託会社、生命保険会社、信託銀行などの資産運用会社のうち、運用資産残高で上位の60社にアンケートを送付し、28社から回答を得ました。本調査結果から、アルゴリズム取引や証券会社との相対取引など、証券会社が提供する各種執行サービスの国内主要資産運用会社における利用状況や、証券会社とのコミュニケーションの減少傾向などが明らかとなりました。また、資産運用会社においては、証券会社との直接対話による執行アドバイスへのニーズが高いとも言えました。

「計らい取引」が減少し、「アルゴリズム取引」など電子取引へのシフトが進む

証券会社では、顧客である資産運用会社に対して、さまざまな執行サービスを提供しています。それらのうち、プリンシパル取引、計らい取引、アルゴリズム取引、DMA(Direct Market Access)取引という主な4つの執行サービス※について、それぞれ利用の有無を聞いたところ、プリンシパル取引と計らい取引は9割以上、アルゴリズム取引とDMA取引については約半数が利用していることが分かりました(図1参照)。

また、3年前と比べて、計らい取引については約4割が減少、アルゴリズム取引は約8割が増加、と回答しており、資産運用会社の電子取引へのシフトが進んでいることが伺えます(図2参照)。

※4つの執行サービス

プリンシパル取引 取引所を通すことなく証券会社が顧客との取引相手となり、自己の勘定で売買を成立させる取引
計らい取引 あらかじめ取引の条件を定めて、その範囲内で証券会社のトレーダーに執行の裁量を委ねる取引形態
アルゴリズム取引 証券会社が管理するコンピュータが、自動的に株式売買注文のタイミングや数量を決めて注文を繰り返す取引
DMA取引 証券会社の提供する電子執行インフラを経由して、資産運用会社から取引所に直接注文を出す取引

図1:利用している執行サービス

図1

図2:利用している執行サービスの増減
(3年前との比較。利用している執行サービスについて回答)

図2

証券会社とのコミュニケーションが減少したが、執行アドバイスへのニーズは高い。

資産運用会社では、証券会社のセールストレーダーから、執行戦略や注文条件等に関するアドバイスや、委託中の注文の処理状況等についての情報を得ることがあります。本調査における回答者の約半数が、証券会社とのコミュニケーションが減ったとしています(図3参照)。その理由については、アルゴリズム取引やDMA取引など電子取引が増加したことにより、電話で直接会話する機会が減ったことや、証券会社のセールストレーダー体制が縮小したことなどが挙げられました。

また、8割以上の資産運用会社が、アルゴリズム取引で出しても良い注文を、敢えて計らい取引で注文することがあると回答しています(図4参照)。これは、電話でセールストレーダーから銘柄等の情報を得るためと考えられ、証券会社との直接対話が重視されていることも明らかになりました。

図3:証券会社とのコミュニケーションが減ったと思うか

図3

図4:アルゴリズム取引で出してもよい注文を、計らいで出すことはありますか?

図4

今後は「ダークプール」や「IOI」の利用が増加。価格変化リスク回避の傾向が顕著に。

証券会社による執行サービスについて、今後の利用意向を尋ねたところ、回答者の6割以上が、ダークプールやIOI(Indication of Interest)を用いた証券会社内の注文付け合わせサービスの利用を増やしたいと回答しています(図5参照)。

ダークプールは取引所外取引の一種で、東証などの取引所を通さず、投資家の注文を証券会社内で自動的に付け合わせ、売り買いの気配を公開せずに行われる取引のことです。また、IOIは証券会社が独自に集めた投資家の売り買いの気配を、別の投資家にメールなどで提供し、取引を個別に成立させるサービスです。

数量の大きな取引を取引所で行うと、価格への影響を与え、その売買が完了するまでに価格が変化してしまうというリスクがあります。しかし、両サービスは売り買いの気配を一般マーケットに公開しないため、取引所に比べて、自らに起因した価格変化の影響を受けにくいという特徴があります。一括発注や約定処理における平均単価方式の導入が進み、一回の注文における売買数量が増大していることが、背景にあるものと思われます。

図5:執行サービスについての今後の利用意向(一部)

図5

 

NRIではこのような調査を今後も実施し、日本の株式トレーディングの実態や変化について明らかにすることで、市場の健全な発展に貢献していきたいと考えています。

調査概要

調査名 「資産運用会社における日本・アジア株式トレーディングに関する実態調査」
(過去の関連調査)
2007年:「国内主要資産運用会社のトレーディングに関する実態調査」
              http://www.nri.com/jp/news/2007/070531.html
2009年:「日本株式トレーディングに関する実態調査」
              http://www.nri.com/jp/news/2009/090601_2.html
実施時期 2013年8月19日~9月17日
方法 調査票を発送・回収とも郵送
対象 日本国内にトレーディング部門を置く資産運用会社(年金、投信、信託銀行、生命保険)のうち、運用資産総額上位60社。
主にトレーディング部門の責任者に回答を依頼
有効回答数 28社