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ドイツ銀行の大規模リストラ策は市場に評価されるか

2019年07月08日

経営不振に陥ったドイツ銀行は7月7日、事前予想を上回る規模のリストラ策を発表した。その柱は、事前に報道されていた通りに、不採算の投資銀行事業の大幅縮小だ。現在9万1,500人の従業員は、2022年までに7万4,000人まで削減される。削減人数は1万7,500人と、事前に伝えられていた2万人程度と概ね一致する。

他方、世界全体でエクイティ部門を閉鎖するとの発表はサプライズだ。また、強みとしてきた債券部門の一部からも撤退するという。さらに、事前に報道されていたように、長期のデリバティブが主体のリスク性の高い不良資産を、いわゆる「バッドバンク」の受け皿機関に移行し、後に処理していく。ただしその規模は2022年末までに740億ユーロと、事前に伝えられていた500億ユーロを大きく上回った。

一方で、選択と集中も進め、コーポレートバンク部門を新設して企業の資金決済などの需要に応えられるようにするほか、削減する投資銀行部門でも企業への助言業務や外国為替などに重心を移すという。

これらの結果、事前には30億~50億ユーロと報じられていたリストラ費用は、2022年までに74億ユーロにまで膨れることになった。このうち30億ユーロ分は2019年4-6月期に計上されることから、同期は28億ユーロの純損失となる見通しだという。これを受けて、2019年と2020年の配当を取りやめる方針である。2022年以降、50億ユーロ分を特別配当あるいは自社株買いで株主に還元する予定だ。

事前に報道されていたリストラ策に対する市場の評価が芳しくなかったことを受けて、最終的にリストラの規模を拡大する決定をした可能性もあるだろう。ゼービングCEO(最高経営責任者)は声明で、このリストラ策を「過去数十年で最も根本的な転換」と説明している。

ところで、ドイツ銀行は日本のオペレーションでも株式営業や株式トレーディング業務からは撤退する。ただし、株式引き受け(ECM)、M&A(企業の合併・買収)助言、為替、債券業務は継続するという。

ドイツ銀行は、増資の計画はないとしているが、今後の金融当局との協議の結果次第では、資本不足から増資を余儀なくされる可能性があるのではないか。今回のリストラ策に対する株式市場の評価は高くなく、さらに増資観測が広がる場合には、株価の低迷が継続することから、欧州他行との合併などの次の戦略にも大きな障害となってしまう可能性も考えられる。今回のリストラ策に対する市場の評価を見極めたい。

Writer’s Profile

木内登英Takahide Kiuchi

金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
専門:内外経済・金融

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