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邦銀が抱える米国レバレッジド・ローンのリスク

2018年12月18日

FRBもレバレッジド・ローンを警戒

米国では、金融市場が抱える大きなリスクとして、投機的格付けのハイイールド債(ジャンク債)、投資的格付け最下位のBB格社債などと並んで、レバレッジド・ローンが注目を集めている。

レバレッジド・ローンとは、BB格以下の企業向けに行われる、信用リスクが高く、その分、金利が高めの融資のことを言う。格付けはハイイールド債に近いが、担保があり債務返済順位が高い。さらに、財務状況が一定基準より悪化した場合に、債務の返済を求めることができる財務制限条項が付いている点などから、ハイイールド債よりもリスクが低い。

しかし最近では、この財務制限条項が緩和されたコベナント・ライトと呼ばれる融資が拡大し、ローンの質の低下も懸念されている。また、レバレッジド・ローンを束ねた証券化商品、ローン担保証券(CLO)が多く組成されており、10年前のサブプライムローン問題との類似点も注目されている。

米通貨監督庁(OCC)は、銀行が、十分に認識しない中で、間接的に高リスクのレバレッジド・ローンのエクスポージャーを高めてしまっている可能性があることにも、警鐘を鳴らしている。銀行は、プライベートエクイティ(PE)ファンドや債券ファンドに融資しているが、それらファンドが、リスクの高いレバレッジド・ローンの資金を提供している場合があるためだ。

11月7~8日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨に、「幾人かは、金融機関を除く民間企業の高い負債比率、とりわけレバレッジド・ローンの拡大が、与信能力の後退に対する経済の脆弱性を高めたと懸念した」と、レバレッジド・ローンのリスクが指摘された。

さらに米連邦準備制度理事会(FRB)が11月末に初めて公表した金融安定性報告書では、企業の債務レベルが歴史的に見ても高いことを指摘したうえで、レバレッジド・ローンやハイイールド債など、特定の企業債務について投資家が求めるプレミアムの低さをリスクとして指摘している。低金利が長期化する中、サーチ・フォー・イールドの傾向を強めた投資家は、信用リスクでは説明できない水準まで、レバレッジド・ローンやハイイールド債を買い進めた(金利は低下)のである。


邦銀が米レバレッジド・ローンに積極投資

FRBの政策金利引き上げで企業の債務返済力が低下するなか、ひとたび米国の景気情勢が悪化に転じれば、こうした企業債務の市場は大きく調整する可能性があるだろう。

国際決済銀行(BIS)が9月に公表した四半期報告書の中でも、米景気が後退期に入れば、レバレッジド・ローンの借り手である企業のデフォルト(債務不履行)増加などで、投資家は損失を被ることになる、と指摘している。

実は、日本の銀行は、この米国でのレバレッジド・ローンに非常に大きなエクスポージャーを持っている。ブルームバーグが報じたところでは、UBSグループは、最上級のトリプルA格のCLOに近年流入した資金の約3分の1は、日本の銀行によるものと試算しているという。米国債券市場でイールドカーブのフラット化が進み、日本の銀行が米国債投資で得られる利鞘が縮小する中、同じ格付けで国債よりも高い利回りのレバレッジド・ローンの相対的な魅力が高まったことが背景にあるのだろう。

こうした日本の銀行の積極的な投資姿勢は、当面は、不安定なレバレッジド・ローン市場を支える役割を果たすことになるのかもしれない。しかし、米国経済が大きく崩れる局面では、レバレッジド・ローン市場の本格調整も避けがたくなり、その際には、日本の銀行の財務の悪化に跳ね返ってくるだろう。

Writer’s Profile

木内登英Takahide Kiuchi

金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
専門:内外経済・金融

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