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日米間で為替・金融政策を巡る対立に発展する可能性

2018年10月15日

米政府が日米貿易協定に為替条項を盛り込む考え

昨日まで、インドネシのバリ島で国際通貨基金(IMF)の年次総会が開かれ、筆者は当地で、世界の貿易問題、通貨問題を議論するパネルディスカッションにパネラーとして参加していた。参加者の関心は、米中間での貿易戦争、通貨戦争に集中していた。当方からは、日米間での二国間貿易交渉が始まること、その交渉過程で、米国側から円安誘導との批判を受ける可能性があること、為替と日本銀行の金融政策は、相互に強く関係していることを報告した。現時点では、日米間の問題に関する参加者の関心は概して低く、日米二国間貿易交渉については初めて聞いた、との反応もあった。

しかし、その直後に、バリ島を訪問していたムニューシン米財務長官は記者会見で、日米貿易協定に為替条項を盛り込む必要性に言及した。これは、米国の貿易赤字は、貿易相手国による不当な通貨安政策によってもたらされている、と思い込んでいるトランプ大統領の考えを代弁している面があろう。すでに米国とメキシコとの新たな貿易協定にも、メキシコの通貨安を牽制する為替条項が盛り込まれた。米韓改定FTA(自由貿易協定)にも、同様な条項が盛り込まれたと米国側は主張している。


日本銀行の政策にも影響

この財務長官の発言には布石がある。米財務省が4月に公表した為替報告書では、日本銀行が現在の緩和政策を始めた2013年上期から、円の対ドルレートは低下傾向を鮮明にし、実質実効為替レートでみた現在の円の価値は、歴史的な平均値を25%程度下回っている、と指摘された。これは、日本銀行の金融政策が過度な円安をもたらしているとの米国政府の理解を反映しているのだろう。

日本は、今後貿易面での厳しい交渉を余儀なくされるだろうが、これに、通貨を巡る対立も加わってくる可能性が高まっている。実際に、日米貿易協定に為替条項が盛り込まれる可能性が高いとまでは言えないが、少なくとも、日米貿易交渉が難航する局面で、米国政府が日本の金融政策、為替政策を円安誘導と批判する可能性は高まったのではないか。そうした事態となれば、円高リスクが一気に高まる可能性がある。

他方、日本銀行にとっては、通貨安誘導との米国政府からの批判、外圧をむしろ利用して、金融政策の事実上の正常化をさらに進めることも可能である。米国側からの批判を受けても、それほど円高が進まない場合には、そうしたシナリオが現実味を帯びよう。しかし、円高圧力がかなり強まる場合には、そうした金融政策が円高傾向をさらに増幅してしまうことを恐れて、逆に正常化に慎重になることも考えられる。現時点では、後者の可能性の方が高いのではないか。

Writer’s Profile

木内登英Takahide Kiuchi

金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
専門:内外経済・金融

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注目ワード : 国際通貨基金(IMF)

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