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テクノロジー企業の個人情報保護に関する米議会公聴会

2018年09月20日

米議会が個人情報保護に関する公聴会を再び開催

9月26日に米国の上院商業委員会は、主要テクノロジー企業の代表者を招いて、個人情報保護の取り組みに関する公聴会を開催する。その背景には、ネット企業によるユーザーの個人情報保護に関して議員たちの関心、懸念が高まっていることがある。

今年に入ってから、同様のテーマでの議会公聴会、証言はすでに2回開かれている。4月には、2016年の大統領選でトランプ陣営側の選挙コンサルティング会社が8,700万人分のユーザー情報を不正に入手した問題が明るみとなり、フェイスブックのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が議会証言を求められた。また、9月5日には、ツイッターのジャック・ドーシーCEOとフェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)が、テクノロジー企業のコンテンツ監視の方法などについて、議会で説明を求められた(当コラム「米巨大テクノロジー企業に規制強化の波(2018年9月10日)」参照)。今回は、グーグル、アマゾン、ツイッター、アップル、AT&T等の個人情報保護の担当幹部が説明する。

公聴会では、各社がユーザーの情報を収集し、それを外部に販売することなどで収入を得るというビジネスモデルについて、再度、議員らから説明を求められる。また、今回は、個人の位置情報の管理にも注目が集まりそうだ。グーグルのスマートフォン向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載している端末は、ユーザーが知らない状況でその位置を追跡している、との批判が出ている。グーグル側は、位置追跡についてはユーザーに明確に通知している、と説明している。また、グーグルは、一部のアプリ開発者に認めてきたユーザーの電子メールのスキャンを打ち切ると表明したにもかかわらず、その後もそれを継続していると批判されている。

このように議会公聴会が開かれる背景には、11月の中間選挙に向けて、国民の関心が高いテクノロジー企業への規制に関して、新たな連邦法の制定の議論がゆっくりと進んでいることがある。中間選挙後の新議会のもとでは、実際に法制化がなされる可能性が高まっているように思われる。

さらに、連邦商業委員会も、フェイスブックの個人情報流出問題について、改めて独自の調査を行う考えだ。同委員会は、デジタル時代にふさわしい消費者保護の基準作りにも関心を示している。また、複数の州の検事総長らも、個人情報保護のための法制化の動きに関心を強めている(注1)。

個人情報保護を中心にテクノロジー企業に対する規制強化の動きは、議会のみならず、政府機関、州レベルに至るまで広がりを見せてきている。これは、11月の中間選挙での論点の一つになるとともに、来年の新議会の大きなテーマの一つともなるだろう。


(注1)"Lawmakers to Quiz Tech Giants on Privacy", Wall Street Journal, September 13, 2018

Writer’s Profile

木内登英Takahide Kiuchi

金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
専門:内外経済・金融

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