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目先は様子見姿勢をとるECB

2018年04月25日

足もとの経済情勢に不透明感

4月26日に欧州中央銀行(ECB)理事会、26日・27日に日本銀行の金融政策決定会合、5月1日・2日に米連邦公開市場委員会(FOMC)と、主要国で金融政策決定に関わるイベントが続く。いずれも政策変更は実施されない可能性が高いが、年後半の政策姿勢を示唆する情報が示されれば、金融市場を動かす材料となろう。

主要国では、いずれも1-3月期に成長率の低下が見込まれている。米国での大型減税策の影響から、成長率はむしろ年初に加速するとの従来の見通しが覆されている。こうした経済指標の下振れに最も敏感なのが、欧州の中央銀行であろう。3月分の経済指標が下振れたこともあって、ほぼ確定的とみなされていた英国中央銀行(BOE)の5月の利上げ策実施にも、足もとでは不確実性が生じている。ユーロ圏でも、1-3月期の経済指標の弱さに加えて、先日発表されたユーロ圏4月PMI総合は55.2と年初からの軟調な基調を維持した。またドイツの4月分IFO景況感指数は予想外に下振れ、実に5ヶ月連続での下落となった。そのため、景気下振れ傾向が長引く可能性も意識され始めている。

それらに加えてECBにとっては、米国の保護主義政策、原油高、ブレグジットなども先行きの経済の不確定要因として意識されている。また米国市場で進むイールドカーブのフラット化(長短金利差の縮小)傾向も、先行きの米国経済の減速を示唆する可能性もあることから、注視していることだろう。

7月の理事会ではさらなる債券買入れ減額を決定か

前回3月の理事会では、「必要なら債券購入プログラムの規模を拡大する」とのいわゆる緩和バイアスの文言が削除され、正常化に向けて一歩前進となった。次の焦点は、9月に期限を迎える月額300億ユーロの債券購入策の扱いである。この点については、6月の理事会で決定されるとの見方が従来から一般的であった。しかし、経済環境に不確実性があることなどから、今回の4月理事会では、その判断は6月ではなく7月の理事会まで引き寄せてから行う方針であることが示唆される可能性が考えられる。

さらに7月の理事会では、9月に債券買入れ策を一気に終了させることを決める可能性もありえるが、より慎重に、段階的な削減を選択して、月額150億ユーロへと縮小したうえで、年内に終了させる可能性がより高まっているように思われる。

金利正常化の手続き

ECBによる金融政策の正常化策で、資産買い入れ終了の次の焦点となるのは、政策金利の引き上げである。この点について、理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中央銀行総裁は先日、まず初めに-0.4%の中銀預金金利を-0.2%へと引き上げ、主要政策金利のリファイナンス金利(0%)は、中銀預金金利の2回目の変更時に引き上げられる可能性があるとの見方を示した。ECBの報道官は、これはノボトニー総裁の個人的な見解であり理事会の見解を反映するものではないことを強調したが、金利正常化に向けてこのような手順が採用されることは十分にありそうだ。

2019年1-3月期にECBは中銀預金金利を-0.4%から-0.2%に引き上げ、4-6月期には0%とマイナス金利を解除するとともに、リファイナンス金利を引上げる可能性を見ておきたい。

目先はやや様子見姿勢を強めるECBであるが、経済、金融情勢に実際に大きな変調が生じない限り、以上のようなスケジュールで、来年にかけて着実に金融政策の正常化を進めていくことが見込まれる。

Writer’s Profile

木内登英Takahide Kiuchi

金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
専門:内外経済・金融

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