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もう一つのFRB副議長ポスト

2018年03月09日

クラリダ氏が副議長候補との観測

FRB副議長ポスト2つのうち、現在空席となっている一つに、トランプ大統領はコロンビア大学のリチャード・クラリダ教授を指名する見通しである、と一部の海外メディアは報じている。クラリダ氏は経済学者である一方、金融の実務家としての経験も持っていることから、学者嫌いと言われるトランプ大統領も受入れ易かった可能性が考えられる。

クラリダ氏は1988年から経済学教授としてコロンビア大学に勤務し、現在は債券ファンド大手であるピムコ(パシフィック・インベストメント・マネジメント)のマネジングディレクター兼グローバル戦略アドバイザーを務めている。2002年~2003年には経済政策担当の財務次官補を務めた経験もある。

ウォールストリート・ジャーナル紙によれば(注1)、クラリダ氏は昨年12月に政府からインタビューを受けており、今年2月にはパウエル議長と会ったという。さらに最近、トランプ大統領、ペンス副大統領とも面談したという。また2011年に当時のオバマ大統領は、クラリダ氏をFRB理事の候補者の一人と考えていたが、最終的には現在のパウエル議長を理事に指名したとされる。

コンセンサス重視の傾向が強まるか

昨年10月には、元財務次官のランダル・クォールズ氏が、金融規制担当副議長に起用されている。クォールズ氏が金融規制、プルーデンス政策を担うのであれば、クラリダ氏は金融政策をリードし、過去30年間で初めて経済学のPh.Dを持たない議長となったパウエル議長を、金融政策運営の面でサポートすることが期待される。

ただしクラリダ氏は、自説を推し通して金融政策を強くリードするのではなく、比較的コンセンサスを重視するのではないかとされている。パウエル議長も同様にコンセンサス重視とみられている。コンセンサスを重視して政策決定を行なうことは、合議で金融政策を決める「委員会制」の主旨に照らせば良いことである。しかし議長、副議長のリーダーシップがともに弱い場合に、どのような政策運営となるのか、特に緊急時にどのような対応ができるのかと言う点には、やや不確実性があろう。


(注1)"Clarida Is Likely Pick As No.2 For Powell", Wall Street Journal, March 2, 2018

Writer’s Profile

木内登英Takahide Kiuchi

金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
専門:内外経済・金融

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