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黒田総裁の再任と2期目の責任

2018年02月13日

黒田日本銀行総裁が再任へ

先週末に各報道機関は、4月に任期満了となる黒田日本銀行総裁を政府が再任する意向を固め、月内にもその人事案を正式に国会に提示する、と一斉に報じた。2人の副総裁の人事については依然として不明であるが、副総裁は総裁をサポートすることが求められ、金融政策決定では議長(総裁)案を支持することがほとんどであることを踏まえれば、総裁人事によって金融政策の方向性は既にかなり決まったと言えるだろう。

2期目は1期目の後始末

黒田総裁2期目の最大の課題は、1期目の異例の金融緩和策で膨らませたてしまった各種の副作用が表面化しないように慎重にコントロールをし、その副作用を徐々に低下させていくことだと筆者は考えている。これはいわば後始末の政策である。

ところで、黒田総裁が政府の再任要請を受け入れたのであれば、その勇気と責任感を高く評価したい。それは、2期目は1期目と比べものにならないほど厳しい道のりとなる可能性が高いためだ。1期目に新たな政策手法を短期間で次々と打ち出した結果、打つ弾がなくなった中での2期目の政策運営はより難しい。

さらに向こう5年の間に、世界経済が後退に転じてしまえば、現在の良好な経済環境は悪化し、また円高、株価下落が生じるだろう。その際には、有効な緩和策がもはや残されていないことに加えて、金融緩和効果の表れと今まで広く考えられてきた良好な経済環境、円高修正、株価上昇が、実際には世界経済の長期回復に支えられたものだったことが明らかとなり、1期目の政策に遡って黒田総裁の評価を大きく下げてしまう可能性もあるだろう。

こうした様々なリスクを覚悟の上で、仮に1期目に進めた政策の後始末を、自ら引き受けたのであれば、その責任感と勇気は高く評価したいと筆者は考えている。

政府言いなりにならない日本銀行に

2期目の黒田総裁は、政府に対して異例な緩和策が膨らませた副作用のリスクを丁寧に説明したうえで、正常化策の重要性を説くことが期待される。正常化の過程ではある程度の円高進行が避けられず、政府はそれを理由に、日本銀行の正常化策を牽制する可能性もあるだろう。しかし円高を過度に警戒して正常化策を遅らせれば、円高よりも格段に大きなリスクを先行き高めてしまうという点を、政府に対してしっかりと説明することを期待したい。「日本銀行は政府の言いなりになっている」との汚名を、新体制下の日本銀行はぜひ返上して欲しいところだ。

Writer’s Profile

木内登英Takahide Kiuchi

金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
専門:内外経済・金融

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