1. HOME
  2. ナレッジ&インサイト
  3. 研究員の時事解説
  4. 木内登英のGlobal Economy & Policy I…
  5. 日本人のネット利用が一部で遅れている理由

日本人のネット利用が一部で遅れている理由

2018年02月01日

一部のインターネット利用率で日本は調査対象国中最低に

OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、日本でインターネットを利用する人の割合は、2016年にOECD加盟調査対象38ヵ国中、第2位の98.0%である。この数字で見る限り、日本はインターネット大国と言えそうだ。しかし、55~74歳の利用率は76.6%と低めであり、中高年齢層への浸透度は必ずしも高いとは言えない。

また、インターネットの利用を分野別にみると、日本では他国と比べて利用が著しく遅れている分野がある。第1がクラウド・コンピューティング、第2が、E-ラーニング、第3が電子政府(書類記入をして政府に書類を送付すること)であり、いずれもOECD調査対象国中、最低の利用度となっている。

オンライン・セキュリティ面での事故、事件が多い日本

日本において、インターネットなど、デジタル技術の利用が十分に広まっていない背景には、中高年齢層を中心とする、基礎的なスキル不足といった問題がある。それに加えて、セキュリティ面、プライバシーの面での強い不安が、その利用を控える大きな誘因になっている。

そうした不安は、日本の企業や個人が、実際に金銭的被害や風評被害などに遭う、あるいはそうしたことを知ることで高められている。こうした事故、事件を実際に(2010年以降)経験した企業は、OECDによる調査対象国の平均で18%に達しているが、そのなかでも、ポルトガルと日本はそれぞれ40.3%、37.5%と最も高くなっている。

またその比率は概ね企業規模に応じて高くなる傾向が見られる。日本については、従業員規模250人以上の大規模企業では、事件、事故を経験した比率は54.1%と5割を超え、他国に比べて突出して高い状況にある。

他方、個人については、過去3ヵ月のうちに、オンライン上の詐欺であるフィッシング、あるいはファーミングによって金銭的損失を被った個人の割合は、 OECD調査対象国の平均で2015年に約2.0%であったが、日本の比率は3.5%とより高めとなっている。また2010年の1.1%から3倍以上に高まっている。

デジタル技術の利用拡大の障害にはプライバシーに敏感な国民性も

ウェブサイトを提供するサーバーのうち安全が確保されたものの比率は、2017年3月時点で、OECD調査対象国平均で3.5%程度であるが、日本は0.6%とメキシコに次ぎ下位2番目となっている。このような安全性を高める措置が十分に整備されていないことが、日本の企業あるいは個人がインターネットを利用した様々な活動に慎重になっている原因の一つであるようだ。

さらに、オンラインを通じて提供された個人情報が、仮に犯罪行為ではなくても他者に利用されることに対する抵抗感は、日本においてはとりわけ強いと考えられる。これは、日本の歴史、文化などから形作られる国民性に根差している面が多分にあることから、それを変えるのは容易ではない。日本でのネット利用をさらに拡大させるには、こうした障害を乗り除く、政府の積極的な取り組みが必要だろう。

Writer’s Profile

木内登英Takahide Kiuchi

金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
専門:内外経済・金融

この執筆者の他の記事

木内登英の他の記事一覧

このページを見た人はこんなページも見ています