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米国でビットコイン先物市場がスタート

2017年12月14日

米国でビットコインの先物取引がスタート

仮想通貨ビットコインの先物取引が12月10日、米大手証券取引所「シカゴオプション取引所(CBOE)」でスタートした。12月18日には、世界最大手の商品取引所「シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)」でも先物取引が始まる。ビットコイン先物取引は、米国外の仮想通貨取引所では以前からなされていたが、主要な大手取引所で取引が開始されたことで、投資対象としてのビットコインの信頼性が高まり、さらなる取引拡大のきっかけとなることが期待される。

CBOEでの取引初日には、大きな価格変動を受けて、取引を一時停止する「サーキット・ブレーカー」が2度発動された。価格が10%、20%変動した時点で、数分の取引停止措置がとられる規定となっている。

価格への影響は見方が分かれる

先物取引の開始でヘッジ機能が高まることが、ビットコイン・スポット市場への資金流入を促し、価格が上昇しやすくなるとの見方がある。他方で、現在ビットコインを保有していない投資家も先物市場でビットコインを売ることができることから、ビットコインの価格上昇に懐疑的な投資家の先物市場での大量売りを招きやすいとの指摘もあり、見方は分かれている。

今年に入ってから足もとまでで、ビットコインの価格は概ね1,500%の上昇を見せている。

大きく開いた先物価格とスポット価格

ビットコイン先物の1月物の価格は、1ビットコイン当り1万8,545ドルと、価格は約20%上昇して、初日の取引を終えた。終値での先物価格とスポット価格(コインデスク調べ)の差は、約7%であったという(注1)。この差をどう評価するかは、実際難しいところであろう。

通常は先物価格とスポット(現物)価格はもっと小さく、それは先行きの価格の見通しが不明確であり、上下に見方が分かれていることを反映していよう。この点を踏まえると、ビットコイン先物価格は、異例なほど強い価格上昇期待によって形成されていると言える。他方で、先物取引が始まる前の1か月間でビットコインのスポット価格は約3倍上昇したことを踏まえると、先行きの価格上昇ペースはかなり緩やかになるとの期待を反映しているとの評価も可能である。ある報道によれば、初日の2月物の価格はスポット価格よりも約11%、3月物の価格は約12%程度の水準で推移していたという(注2)。先行き次第に価格上昇ペースが落ちていく形である。

先物市場の規模はなお小さい

しかし、初日の先物契約の規模は6,800万ドルと、ビットコインの残高の数10億ドルと比較すれば依然としてかなり小さく、両者間で十分な裁定が働くには至っていないものと考えられる。こうした点から、先物価格とスポット価格の差から、市場参加者の先行きのビットコイン価格の見通しを推し量るのは、なお難しいと思われる。

ビットコインのボラティリティの変化に注目

CBOEは、先物取引に続いて、ビットコインのオプション取引やETFの上場も計画しているという。このように通常の金融資産と同様に市場整備が進められる中、取引量はさらに拡大することが見込まれる。それがビットコインのボラティリティにどのような影響を与えるかが重要であろう。

取引量の拡大が市場流動性を高め、ボラティリティが低下すると、より幅広い投資家がビットコインを投資対象と見なすようになり、それが投資資金の流入を促し、ボラティリティがさらに低下するという好循環が生まれる。

しかし、金融資産全体でボラティリティが大きく低下するなか、投資対象としてのビットコインに注目して、現在、投資資金を傾けている投資家は、価格変動率の高さを利用して、短期的な価格上昇益の獲得を目指すリスク許容度の高い投資家である。

将来的にはビットコインのボラティリティが低下すれば、そうした投資家が資金を引き上げ、取引量の縮小につながる可能性もあろう。しかし当面は、前者の傾向の方が優勢になるとみられ、取引量の拡大が進むことが見込まれる。


(注1)「ビットコイン先物2割高、米上場初日、一時は乱高下。」日本経済新聞(夕刊)、2017年12月12日
(注2)「ビットコイン先物、過熱相場収束の可能性示唆」、ロイター、2017年12月11日

Writer’s Profile

木内登英Takahide Kiuchi

金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
専門:内外経済・金融

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