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ウルグアイが世界初の中銀デジタル通貨を発行

2017年11月15日

ウルグアイが世界初の中銀デジタル通貨「eペソ」を発行

2017年11月3日に南米ウルグアイの中央銀行が、世界初となる中銀デジタル通貨「eペソ」の発行を正式に発表し、世界を驚かせた。

中銀デジタル通貨発行については、スウェーデン中銀が検討の具体的なスケジュールを既に公表している。また、ロシア、中国などの主要国も、中銀デジタル通貨の発行を検討していることを明らかにしていた。その中で、南米の小国が世界に先駆けて中銀デジタル通貨を発行し、いわば俄かに競争の先頭に立ったことが、強い驚きを持って受け止められているのである。

半年間の試行

ただし、ウルグアイの中銀デジタル通貨は、現時点では半年という期限付きのテスト(パイロット・プログラム)という位置づけだ(注1)。規模と期限を限定した試験運用であるからこそ、世界に先駆けて中銀デジタル通貨の発行が可能になったといえる。

記者会見でウルグアイ中銀総裁は、これはビットコインのような仮想通貨ではなく、中央銀行が責任を持つ、法貨ウルグアイ・ペソ建てのデジタル通貨であることを強調している。

この中銀デジタル通貨は、国営通信会社ANTELの携帯電話利用者1万人を対象として発行される。そして、中銀デジタル通貨の保有者は、それを個人間の決済(peer-to-peer)や商店での買い物の決済に利用できる。

利用者はまず専用アプリをダウンロードし、国営決済会社Red Pagosの口座に中銀デジタル通貨をチャージする。これはスマートフォンでも、そうでない携帯電話でも利用できるという。

中銀デジタル通貨は当面のところは総額2,000万ウルグアイ・ペソ(約7,800万円)発行される予定であるが、そのうち既に700万ウルグアイ・ペソがRed Pagosにチャージされたという。最終的には、中銀デジタル通貨保有額の上限は、個人は一人当たり1,000ドル相当、企業は6,600ドル相当となるという。

中銀デジタル通貨発行の背景に現金のコスト

中銀デジタル通貨の試験的な発行を決めた背景として、ウルグアイ中銀総裁が挙げたのは、コストの問題である。現金の製造、輸送あるいは輸送に伴う警備費などが非常に高額になっている。また、脱税や資金洗浄(マネーロンダリング)対策も意識しているという(注2)。

他国での中銀デジタル通貨発行の計画に大きな影響

半年間のテスト期間が過ぎた後に、ウルグアイ中銀は利用者の意見を聞いて、中銀デジタル通貨の発行を続けるか否かについて判断する。その際、発行を継続することを決めても、現金の発行を直ぐに停止することはない。現金発行を停止するまでにはかなりの時間がかかるという見通しを、ウルグアイ中銀は示している。

ウルグアイの中銀デジタル通貨発行は、期限付きの試験的な運用ではあるが、実際に発行されることで、その利用者から得られる情報は多いはずである。そこで浮かび上がる中銀デジタル通貨発行のプラス面、マイナス面の情報は、他国での今後の中銀デジタル通貨発行の計画に、非常に大きな影響を与えることになるだろう。


(注1)https://news.bitcoin.com/uruguay-first-in-the-world-to-launch-digital-currency-not-bitcoin-it-stresses/
(注2)「ウルグアイが『法定デジタル通貨』、中銀が試験運用、世界初、支払い・個人間送金に。」日本経済新聞、2017年11月14日

Writer’s Profile

木内登英Takahide Kiuchi

金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
専門:内外経済・金融

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