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パウエル氏のFRB議長指名で重要性を増す空席ポストの人事

2017年11月06日

さらなる理事の人事に注目

トランプ大統領は11月2日、ジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)理事を、次期議長に指名することを正式に発表した。同氏の指名については、事前にその観測が強まっており、意外感はない。さらにパウエル理事は、イエレン議長の政策提案を一貫して支持してきたことから、議長が交代する来年2月以降の金融政策運営に、直ぐに大きな変化が生じることはないだろう。

ただし、現在FRB理事のポストは3つ空席であり、来年2月にイエレン議長が議長職を退任とともに理事職も辞する可能性が高いことから、その際には4つもの空席が生まれるのである。トランプ大統領がこの空席に誰を充てるかで、金融政策運営に変化が生じる可能性はあろう。

パウエル理事指名は消去法の側面もあったか

正式指名の直前には、次期議長候補は、パウエル理事、スタンフォード大学のジョン・テーラー教授、イエレン議長の3氏に絞られていた感があった。共和党保守派の間では、ドルの信認を危険に晒しつつ異例な緩和を主導したイエレン議長に対する批判が強かった。他方で共和党保守派は、①一定のルールに従った金融政策運営を重視することに加えて、②国際規制でのFRBの決定に対する議会の監視を強め、また③FRBの予算を議会承認が必要とするなど、FRBに対する議会の影響力を高める方向でのFRB改革を支持している。ジョン・テーラー氏は、こうしたFRB改革を支持していると見られることから、共和党保守派にとって意中の人はジョン・テーラー氏だったのではないか。

他方で、ジョン・テーラー氏はより積極的な金融引き締め策を支持する、いわゆる「タカ派」と見る向きが多い。この点は、成長重視のトランプ大統領の考えと相容れない面があった可能性もあろう。さらに、トランプ大統領は学者嫌いで知られており、この点から、経済学者のジョン・テーラー氏とイエレン議長については、ともに指名を躊躇う面があったのかもしれない。ちなみにパウエル理事は弁護士出身である。

他方で、パウエル理事が金融規制緩和に比較的前向きであることも、金融規制緩和を標榜するトランプ大統領が同氏を支持する要因の一つとなった可能性もまた考えられる。

政策手腕に未知数な面も

弁護士出身のパウエル理事は、財務省の財務次官補及び財務次官を務め、その後はシンクタンクで財政問題に関する研究を行った。しかし、マクロ経済や金融政策での経験は、2012年にFRB理事に就任してからのことであり、その経験は豊富とは言えない。既に述べたように、パウエル理事がイエレン議長、そしてその前任のバーナンキ前議長の政策提案を一貫して支持してきたことは、金融政策について強いオピニオンを持っていないことの表れ、との解釈もできるかもしれない。

仮にパウエル理事が議長として強いリーダーシップを発揮できない場合には、金融政策決定は今後指名されていく新任理事の顔ぶれによって相応に影響を受けることになるだろう。

Writer’s Profile

木内登英Takahide Kiuchi

金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
専門:内外経済・金融

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