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はじめに-「書評」とは

2019年08月20日

書評コーナーを始めることになりました。仕事柄、本を読むことが多いので、その中でも重要と思われる本を紹介していきたいと思います。特に昨今注目されている「デジタル・トランスフォーメーション」いわゆる「DX」に関連する本を中心に取り上げていくつもりです(電子書籍になっていないアナログな本も取り上げることになるのですが、まあそこはDXの本質ではないということで)。また文体もちょっと楽をさせてもらって、ブログを書くようなつもりで書いていきたいな、と考えています。

さて「書評」というものについての個人的な考えをちょっと述べたいと思います。結論からいえば「書評」とは、「その書評を読んだ人がその本を買うべきかどうかの判断基準となる情報を提供するもの」だと考えています。

なので、ここでの書評は「読書感想文」のような「面白かった・つまらなかった・共感した」などの主観的な感想は一旦脇に置きたいと思います(とはいえ、本当に面白い本は「面白かった!」と書いちゃいますけど)。

また、「書評」は「要約」とも異なります。「要約」とは、その本に書かれている内容を目次や構成に沿った形でまとめたものですが、それを示されたところで、ではその本は自分にとって買うべき本なのかという情報にはなりにくいのではないかと思います。変なたとえですが、料理を言葉で説明されただけで、その料理が自分の好みに合うのかどうかを判断するのは難しくないでしょうか。例えば「麺は太めで200g、スープは白濁色で豚骨ベース、ネギ・ゴマあり、チャーシューは2枚(推計約60g)、のり、メンマあり」といった「要約」よりも、「家系ラーメン好きならど真ん中」とか、「ここの魚介系ダブルスープは好みが分かれる」といった情報のほうが判断基準としては役に立つのではないかと思います。そういうわけで、この書評では要約はあまり重視しません。要約が気になる方にはその情報が掲載されている場所をご案内するようにしたいと思います。

そして、ちょっと独特な個人的なこだわりですが、私は本を「読む」かどうかではなく、「買う」かどうかの判断基準を提供したいと考えています。「買うだけ買って積ん読になってる本がもういっぱいあるのに」という嘆きの声がモニターのむこうから聞こえた気がしますが、それでも私は本を「買う」べきだと考えています。その理由は「プライミング効果」です。プライミング効果とは、ある程度の回数目にしたり聞いたりしたことは潜在意識に残るため、そのことに関する情報には脳が普段よりも敏感に反応する効果のことです。私は積ん読にもこのプライミング効果があると考えています。

「買った本が積まれた状況は、自分が知りたいことや欲求の鏡だといえます。それが目に入るところにあって、日常的にざっと眺めるだけでも、相当な知的刺激になります」(嶋浩一郎著『なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか』祥伝社新書(2013年))

というわけで、積ん読を恐れずに「重要だな」とか「読みたいな」と思った本はガンガン買うべきだという立場から「書評」を書いていきたいと思います。

その意味で、この書評は取り上げる本に関連した類書・関連本も遠慮せずに紹介していきます。それぞれの類書の相対的な位置づけや難易度、そして読みやすさなどといった情報もできる限り盛り込んでいきたいと思います。なかには取り上げた本よりも、関連本のほうが求めている本だったといったような発見もあるといいなと思います。また、取り上げる本の多くは新刊書になりますが、その本の源流と考えられる古典があるなら、それも合わせて紹介する予定です。昨今の出版の厳しい状況から、ちょっと前の本の書店での入手可能性はかなり悪化しています。ただネット書店や公共の図書館などでは見つかるとも思います(余談ですが、最近の公共図書館はネットで蔵書検索から貸出予約までできるようになっているところが多いです。この機会に地域の公共図書館の利用者登録をしてみることをおすすめします)。

そして、これはできるかどうかわかりませんが、できる限り「現実」との接続を意識した書評にしたいと考えています。「この本を読めば現実のこの問題に新しい視点が得られる」というのが理想ですが、できる限りそのようなつながりがあるような内容を目指したいと思います。特に、コーナータイトルについている「DX」について、なんらかのヒントになることを目指したいと思います。

あまり長い能書きもあれですので、このあたりで。更新頻度やいつまで続くかはまったく未定ですが、しばらくお付き合いください。

Writer’s Profile

柏木 亮二

柏木亮二

金融イノベーション研究部
上級研究員
専門:IT 事業戦略分析

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